副業をしている場合の確定申告

昨今、副業と呼ばれるように本業とは別に仕事があり、そこから収入を得ている方が増えていると見聞きしますね。そういった方の確定申告はどうしたらいいのでしょうか?

 

所得税法 第121条

第百二十一条 その年において給与所得を有する居住者で、・・・(給与所得)・・・の金額が二千万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、・・・同項の規定による申告書を提出することを要しない。・・・
一 ・・・その年分の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額の合計額・・・が二十万円以下であるとき。

 

給与所得者の方が会社から得ている収入とは別の収入の内、上記に該当するような金額が20万円以下の場合は確定申告の必要はありません。

 

例えば、会社に勤務している方が副業で雑貨店を営んでいるとします。

この場合の収入金額が50万円、必要経費が40万円であったとします。

当該雑貨店事業に関する事業所得(又は雑所得)を計算してみましょう。

 

(計算)

副業にかかる事業所得 = 50 − 40 = 10万円

 

ポイントは収入金額が判定の基準となるのではなく、所得の金額が判断の基準となるところです。

 

上記の例ですと、収入金額は50万円ですが、必要経費が40万円かかっているので、所得金額は10万円となり、20万円を下回っています。

 

実際に確定申告が必要なのかどうか、ルールに当てはめて判断することが求められます。

 

(參考)

No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

 

不正史 vol.2 - 定義 -

南橘北枳

人間は住む環境によって、よくなったり悪くなったりするということ。

- 三省堂 新明解四字熟語辞典

 

これから先、不正に関する事柄をみていきます。

が、不正とはそもそも何でしょうか?

対象を考察する時には言葉の意味をしっかりと把握しておく必要があります。

 

いくつか辞書を引いてみましょう。

 

引用元:実用日本語表現辞典 

正当と見なされる手段や方式を用いないさま。不適切なさま。ずるや反則などは「不正行為」のようにも言う。

 

引用元:Wiktionary日本語版

正しくないこと。規範から逸脱すること。

帳簿が合わなきゃお前、何かそこに不正が行われている証拠じゃないか。(谷譲次『字で書いた漫画』)

 

引用元:デジタル大辞泉

正しくないこと。また、その行為や、そのさま。

 

正しいとされること(規範)から外れた行為などのことを不正と表現するのが一般的な解釈のようです。

 

規範には法と慣習がありますが、明示的に示される法だけでなく、慣習と異なる行為も不正という言葉は使わないまでも、受け入れられる素地が少ないことはみなさんの身の回りを見渡しても、わかる話ではないでしょうか。

 

引用元:Fraud Act 2006

Fraud
(1)A person is guilty of fraud if he is in breach of any of the sections listed in subsection

 (2) (which provide for different ways of committing the offence).

(2)The sections are—
 (a)section 2 (fraud by false representation),
 (b)section 3 (fraud by failing to disclose information), and
 (c)section 4 (fraud by abuse of position).

(3)A person who is guilty of fraud is liable—

 (a)on summary conviction, to imprisonment for a term not exceeding 12 months or to  a fine not exceeding the statutory maximum (or to both);

 (b)on conviction on indictment, to imprisonment for a term not exceeding 10 years or  to a fine (or to both).

(4)Subsection (3)(a) applies in relation to Northern Ireland as if the reference to 12 months were a reference to 6 months.

 

こちらのFraud Act 2006は法律で不正とはどういうことかについて定めています。

 

Section 2 → 虚偽の表明

Section 3 → 情報の非開示

Section 4 → 地位の乱用

 

こちらの解釈でも、正当とされる方法から逸脱した行為を不正としていますね。

 

(vol.3へ続く)

不正史 vol.1 - はじめに -

石川や 浜の真砂は 尽くるとも 世に盗人の 種は尽くまじ

-石川五右衛門

 

かつて、大泥棒の石川五右衛門は釜茹での刑に処せられる時、このように詠んだといいます。有名な辞世の句ですので、ご存じの方もいらっしゃるかと思います。

 

「時代が移り変わろうとも、世の中には悪いことをする人間は必ず出てくる。俺を処刑したところで、大した事はないよ。」、そんな感じでしょうか?

 

現代においても、様々な不正が世界中で発生しています。悪いことをする者は時代が変わっても存在する。残念ながら、石川五右衛門の言ったとおりの状況です。

 

どんなに技術が進歩しても、どれだけ経済的に豊かになってもです。

 

では、不正に対しては事後的に対応せざるを得ないのでしょうか?

発生しても、被害が小さいうちに発見して是正することは出来ないのでしょうか?

 

愚者は体験によって学ぶという。私は他人の経験によって利益を得ることを好む。

A fool learns from his experience. A wise person learns from the experience of others.

-オットー・フォン・ビスマルク

 

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」の訳のほうが有名でしょうか?

「”自分史”もいいが、”他人史”に学ぶことで利益を得ることもできるよ。私はそっちのほうが好きだね」、というわけです。

 

人類の歴史を振り返ると、数々の営みがあり、それぞれに学ぶことがあるので、歴史をしっかりと学びましょう!、学校ではそのように教えられます。

 

学校で教える歴史は政治史が中心ですが、不正の歴史(「不正史」とでも呼びましょう)に着目してみるとどうでしょうか?、思いがけない学びが得られるのではないでしょうか?

 

「後悔はするが、反省はしない。」

 

それでは悲しいので、本シリーズでは不正にまつわるあれこれを取り上げてみます。

 

(vol.2へ続く)

 

新株予約権 - vol.1 -

新株予約権は、多くの場面で利用されますが、会社法上、どのような説明がなされているのでしょうか?

ここでは会社法をみながら、新株予約権について整理してみたいと思います。

(2021年12月時点の会社法を基に記載します)

 

はじめに定義から確認しましょう。

 

会社法 第2条

二十一 新株予約権 株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。

 

簡単に言えば、新株予約権「株式を受け取ることができる権利」です。新株予約権保有している者(新株予約権者)は、新株予約権を発行した会社に対して株式を受け取ることができます。

 

つまり、新株予約権保有者が発行者である会社に対して、株式を一定の価格で受け取れる権利(コールオプション)として機能します。

 

次に、新株予約権はどのように発行されるのか?、整理しておきます。

 

新株予約権が発行される際、募集事項を定める必要があります。

会社法第238条)

 

新株予約権は発行される際に払込金額が求められますが、募集事項で金銭の払込みが必要でないことを定めることもできます。

 

会社法 第238条

二 募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨

 

募集事項の決定は株主総会決議、または取締役会決議が必要です。

会社法第238、239条)

ただし、募集事項の決定を取締役会に委任する場合、決議から割当まで1年以内であることが求められます。

 

会社法 第239条

3 第一項の決議は、割当日が当該決議の日から一年以内の日である前条第一項の募集についてのみその効力を有する。

 

 

消費税の税込/税抜経理

消費税の経理の方法として、税込と税抜の2つがあります。事業者はどちらを選択しても構いませんが、選択した方法については事業者が行うすべての取引に適用するのが原則となります。

 

設例を通して確認してみましょう。

 

例)商品Aを33,000円(消費税額:3,000円)で仕入れて、55,000円(消費税額:5,000円)で売り上げた。

 

・税込方式

 

(仕訳)

仕入

仕入 33,000 / 現金 33,000

 

売上時

現金 55,000 / 売上 55,000

 

期末時

租税公課 2,000 / 未払消費税 2,000*1

*1 売上にかかる消費税:5,000 - 仕入れに係る消費税:3,000 = 2,000

 

もし、消費税が還付される場合は、以下のような仕訳となります。

(仕訳)

未収消費税 ×× / 雑収入 ××

 

・税抜方式

 

(仕訳)

仕入

仕入    30,000 / 現金 33,000

仮払消費税   3,000

 

売上時

現金 55,000 / 売上     50,000

        仮受消費税   5,000

 

期末時

仮受消費税 5,000 / 仮払消費税     3,000

             未払消費税  2,000

 

 

どこまで前提を疑うか?

何かトラブルがあった場合、表面でみえる部分とは別のところに根本の問題があったりします。

 

「何故、このような事が起こったのか?」

 

それは日常の習慣であったり、問題とされていなかったことが実は陳腐化して時代にそぐわなくなっていたり、変化する状況を捉えられなかったりと様々な要因が考えられるでしょう。

 

でも、実際にそれらを省みることは自分も、周囲もそれほど多くない気がします。日々の忙しさに追われたり、問題を置き去りにしたり、とりあえずお茶を濁したり・・・それが人情ではありますが。

 

「どこまで深堀りして考えるか、変えるか?」

 

因果関係を考慮すること、目の前のことに向き合う、言うほどには簡単ではありません。

 

臭いものに蓋をする。気風としては多くのところで観察されるものです。変化は少しずつ進み、気づいたら自分が化石となっていた。そんな恐ろしさはあります。

 

何が本質的に重要なのか?、問題なのか?

どこかで落ち着いて考えることが必要ですし、みんなで話し合うことも大切ですね。

 

政治家 + 官僚 > 政治家 + 政治家 or 官僚 + 官僚

組織を動かす人物はどんな人がいいでしょうか?

 

「やはり、知識や経験が豊富な人!」

「優しい人がいい!」

「厳しくても、言うべきことを言える人!」

 

色々な意見はありそうですね。

 

古代から今に至るまで中国では、トップに一人の人物が就いて、一国を支配する体制が続いています。共和制のような体制で、多数決で物事を決めるのではなく、トップダウンであらゆることを決裁する。

 

王朝は基本的に世襲制です。優れたトップであれば儲けものですが、もしそうでなければ・・・。伝統や格式を重んじる文化で、家柄を大切にする発想から、代々、王様の家に生まれれば、子供も王様といった形です。

 

サイコロを振るように、代々の王が優れた統治をすることを期待するのはバクチのようです。どうしても備えるべき見識を備えていない人物がその地位に就いてしまう場合がある。見識に欠ける人物でも一定程度の知見が得られるように、様々な帝王学の教えがあるわけですね。

 

また、その補佐をするための仕組みとして官僚機構があります。縁故で採用するのではなく、能力で採用するための科挙の仕組みは今も受験という形で残っていますね。中央の意向を中華全土まで反映するために、官僚機構は上手く機能していたようです。

 

世襲制ゆえ、トップの能力にはバラツキがあるが、周囲の人物は一定程度の能力を備えているように思えます。それは科挙しかり、それ以外の人物を選定するための名伯楽のような人がいたのでしょうか?

 

では実務を処理する時に官僚が上手く機能するとしたら、トップには何が求められるのでしょうか?

 

まずは、嫌われないこと、人徳がなければ、誰もついてきません。いくら伝統ある家柄、育ちがいいといっても、人を惹き付ける何かがなければ、周囲の人間を上手く動かすことは出来ないと思います。いくら、当人物に知識や経験があっても、「あの人、なんか、嫌いだな・・・」と一瞬でも思われてしまうと、ジ・エンドです。それは今も昔も変わらないように観察されます。機微に疎いのはダメです。

 

一方で、人が好いだけでは、侮られて規律が保てなくなってしまうでしょう。「どうせ、あの人は多少の悪いことをしても許してくれるだろう」、そう思われてしまうと、秩序が保てません。法家の思想は、個人に期待するのではなく、システムをかっちりと組み上げて、ルールに基づいて賞罰を与えるというのが基本です。このようなお人好しのトップでも上手く機能しそうですね。

 

私がパッと思いつく、組織のトップの条件をあげてみましょう。

 

・悪口・陰口・軽口を言わない人

・人に対する観察が鋭い人

・口が軽くない人

・ルールを守れる人

・人望がある人

などなど・・・・

 

他にも人によっては条件は違うでしょうが、ざっとこんなところでしょうか。古今東西の色々な組織をみていておもうのが、トップにはまず人柄、次に判断力があるひとが就いて、その周りに実務能力に優れた官僚タイプの人が就くのが一番、上手く機能するということです。

 

韓非子ほどに人間不信ではないですが、部下に対する手綱を上手く使える人でないと、この仕組みを機能させることは難しいです。突き詰めると、そこだけ上手くできればいいかと。トップ、管理職の”能力”はそこにつきる。そう感じます。