地方税 - 自動車税・自動車重量税 -
法人税申告書の調整 - 過去の誤謬の場合 -
企業会計基準委員会が公表する企業会計基準第 24 号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準 」に基づくと、過去の誤謬については、修正再表示することになります。
(取り扱い)
・表示期間
→各期の財務諸表に影響額を反映
・表示期間より前の期間
→表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首の資産、負債及び純資産の額に反映
それでは、法人税の取り扱いはどうなるでしょうか?
法人税法 第74条
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
・・・
法人税の申告は確定した決算に基づいて行います。遡及処理する場合でも、過去の課税所得の計算が誤って行われている訳でないなら、過去の課税所得の計算、税額に影響を及ぼしません。
しかし、遡及処理及び修正再表示を行う場合、前期末の利益剰余金と当期首の利益剰余金が一致しません。こちらは別表上で修正することになります。
(調整内容)
当期の法人税申告書
・別表5(1)
→繰越損益金を修正後の金額、別表の他の欄に修正金額を記載する。
(関係式)
繰越損益金 + 他欄に記載した修正額 = 前期末の繰越損益金
(参考)
・国税庁HP
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/111020/pdf/all.pdf
持分会社から株式会社への変更
持分会社から株式会社へ変更する際には、所定の事項を定める必要があります。
会社法 第746条
持分会社が組織変更をする場合には、当該持分会社は、組織変更計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
・・・
上記で定めた効力発生日に持分会社は株式会社となります。
会社法 第747条
組織変更をする持分会社は、効力発生日に、株式会社となる。
上記内容に沿って、「組織変更計画書」を作成した後、社員総会で総社員の同意を得る必要があります。総社員の同意は効力発生日の前日までに必要です。
なお、組織変更計画書及び総社員の同意書は法務局へ提出する「持分会社の組織変更の登記申請書」に添付する必要があります。
また、組織変更にあたっては債権者保護手続きが必要となります。
会社法 第781条
組織変更をする持分会社は、効力発生日の前日までに、組織変更計画について当該持分会社の総社員の同意を得なければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2 第七百七十九条(第二項第二号を除く。)及び前条の規定は、組織変更をする持分会社について準用する。
(参考)
決算公告 - 株式会社の場合 -
株式会社は決算公告する義務があります。決算公告は会社の決算状況について公に知らせることをいいます。
会社法 第440条第1項
株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
(決算公告する書類)
大会社以外の株式会社 → 貸借対照表
会社法上の大会社は資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社です。
会社法 第2条
六 大会社 次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。
イ 最終事業年度に係る貸借対照表・・・に資本金として計上した額が五億円以上であること。
ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。
電磁的方法で不特定多数の者に貸借対照表を提供できる状態にあるもの、金融商品取引法により有価証券報告書を提出しなければいけない会社は対象外です。
また、特例有限会社も決算公告の義務の対象外です。
決算公告の方法としては3つの方法が会社法で定められています。
会社法 第939条
会社は、公告方法として、次に掲げる方法のいずれかを定款で定めることができる。
一 官報に掲載する方法
二 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
三 電子公告
特定譲渡制限付株式の税務上の取り扱い
譲渡制限付株式のうち、次の要件に該当するものは、特定譲渡制限付株式となります。
法人税法 第54条
一 当該譲渡制限付株式が当該役務の提供の対価として当該個人に生ずる債権の給付と引換えに当該個人に交付されるものであること。
二 前号に掲げるもののほか、当該譲渡制限付株式が実質的に当該役務の提供の対価と認められるものであること。
内国法人が個人から役務の提供を受ける場合、特定譲渡制限付株式を交付した際には、給与等課税額が生じた日において、役務の提供を受けたとして法人税法を適用します。
所得税法上、特定譲渡制限株式の価額は譲渡制限が解除された日の価額となります。
所得税法施行令 第84条
個人が法人に対して役務の提供をした場合において、当該役務の提供の対価として譲渡制限付株式であつて次に掲げる要件に該当するもの(以下この項において「特定譲渡制限付株式」という。)が当該個人に交付されたとき・・・における当該特定譲渡制限付株式・・・の価額は、当該特定譲渡制限付株式・・・の譲渡・・・についての制限が解除された日・・・における価額とする。
匿名組合員の所得の取り扱い
匿名組合についての概論は以前に投稿したとおりです。
匿名組合には営業者と匿名組合員が登場しますが、今回は匿名組合員の所得区分の取り扱いについて整理します。
所得税基本通達を参照すると、匿名組合員が営業者から受ける利益の分配については、原則として雑所得とする旨、規定があります。
所得税基本通達 36・37共-21
匿名組合契約・・・を締結する者で当該匿名組合契約に基づいて出資をする者・・・が当該匿名組合契約に基づく営業者から受ける利益の分配は雑所得とする。・・・
ただし、匿名組合員が組合事業について営業者と共に経営していると認められる場合、営業者から受ける利益の分配は、営業内容に従って、事業所得又はその他の所得とします。
所得税基本通達 36・37共-21
・・・ただし、匿名組合員が当該匿名組合契約に基づいて営業者の営む事業・・・に係る重要な業務執行の決定を行っているなど組合事業を営業者と共に経営していると認められる場合には、当該匿名組合員が当該営業者から受ける利益の分配は、当該営業者の営業の内容に従い、事業所得又はその他の各種所得とする。
なお、営業者が支払った利益の額は、組合事業の所得計算上、必要経費に算入します。
所得税基本通達 36・37共-21の2
・・・営業者が匿名組合員に分配する利益の額は、当該営業者の当該組合事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。
関連当事者注記 - 会社計算規則・財務諸表等規則 -
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下、「財務諸表等規則」)を参照すると、関連当事者に関する注記に関して、次のような規定があります。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則 第8条の10
財務諸表提出会社が関連当事者との取引・・・を行つている場合には、その重要なものについて、次の各号に掲げる事項を関連当事者ごとに注記しなければならない。ただし、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合は、この限りでない。
連結財務諸表を作成している会社は関連当事者注記について、個別上の注記は必須ではありません。
一方、会社計算規則を参照すると、次のような規定となっています。
会社計算規則 第98条 第1,2項
注記表は、次に掲げる項目に区分して表示しなければならない。
・・・
十五 関連当事者との取引に関する注記
・・・
2 次の各号に掲げる注記表には、当該各号に定める項目を表示することを要しない。
・・・
四 連結注記表 前項第八号、第十号、第十一号、第十四号、第十五号及び第十八号に掲げる項目
上記のように、財務諸表等規則と会社計算規則では関連当事者注記について違いがあります。