不動産の証券化 vol.2 - 証券化の仕組み -

(vol.1から続く) 不動産の証券化の概要をみたところで、次にどのように証券化するのか、基本的な仕組みについてみていきます。 その前に、証券化にあたってSPVやSPC、SPEやTMKといった略語が登場するので、こちらを整理しておきましょう。 証券化にあたっ…

税務上の非上場株式の評価 - vol.4 -

「同族株主以外の株主等が取得した株式」の評価については、次の条件に該当する場合、配当還元方式により行います。 財産評価基本通達 188 (1) 同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主の取得した株式 ・・・ (2) 中心的な同族株主のいる会…

税務上の非上場株式の評価 - vol.3 -

ここで、取引相場のない株式の原則的な評価方法を整理します。 財産評価基本通達178に則り、株式の発行会社の区分に応じて次のように評価します。 ■大会社 ・類似業種比準方式 ・純資産価額方式 ■中会社 ・次の算式により評価 (計算式) 類似業種比準価額*…

税務上の非上場株式の評価 - vol.2 -

所得税基本通達59−6をもう一度、参照します。 所得税基本通達 59−6 ・・・この場合、23~35共-9の(4)ニに定める「1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」については、原則として、次によることを条件に、・・・「財産評…

税務上の非上場株式の評価 - vol.1 -

非上場株式の評価について、各取引パターンに分類したうえで株式の評価をどのように算定するのかについて整理してみたいと思います。 1.個人 → 法人 所得税法上、次のようなルールがあります。 所得税法 第59条 次に掲げる事由により・・・譲渡所得の基因…

株式等保有特定会社の概要 - vol.2 -

S1+S2方式 S1+S2方式は、評価対象となる会社の資産を株式等(S2)とそれ以外(S1)に分けて、S1については財産評価基本通達に定める原則的な方法(類似業種比準方式、純資産価額方式)に準じて処理します。S2については純資産価額方式により処理します。 なお…

馬券の払戻金の税務上の取り扱い

所得税基本通達を参照すると、競馬の馬券の払戻金については次のような記述があります。 所得税基本通達 34-1 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。 ・・・ (2) 競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行…

株式等保有特定会社の概要 - vol.1 -

財産評価基本通達189(2)の要件に該当する会社は、株式等保有特定会社と判定されます。 (判定式) (株式等※1の価額 ÷ 総資産の価額) ≧ 50% ※1 株式、出資及び新株予約権付社債 また、財産評価基本通達189では、株式等保有特定会社の判定に当たっての…

資産管理会社&IPO - 相続税法の観点から -

財産評価基本通達185において、純資産価額は次のように定義されています。 (計算式) 純資産価額 = 各資産の合計額 − 各負債の合計額 − 評価差額に対する法人税額等に相当する金額 上記の計算式のうち、「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」につ…

特定口座制度の概要

金融商品取引業者等に特定口座を開設した場合、特定口座内の上場株式等に関する譲渡所得については、特定口座外で計算した株式等の譲渡所得とは区分して計算します。 また、特定口座内の譲渡所得について源泉徴収を選択した場合、その特定口座の上場株式等の…

取得費不明の株式の所得税法上の取り扱い

所得税法上、株式を譲渡した際の譲渡所得は次のとおりに計算されます。 (計算式) 譲渡所得 = 総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等) (なお、株式の譲渡については、「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所…

社会保険 - 賞与支払届 -

事業主が健康保険・厚生年金保険の被保険者、70歳以上の被用者に賞与を支給した場合、支給日より5日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届/厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届」を日本年金機構に提出します。 ■提出書類:「健康保険・厚…

社会保険 - 定時決定 -

事業主が健康保険・厚生年金保険の被保険者、70歳以上の被用者の4月〜6月までの3ヶ月間の報酬月額を算定基礎届により提出します。厚生労働大臣は届出内容に基づいて標準報酬月額を決定します。これを定時決定といいます。 ■対象者:健康保険および厚生年…

農業協同組合に関する会計等について - vol.3 -

3.説明書類 信用事業・共済事業を行う組合は、説明書類の作成が求められます。 農業協同組合法 第54条の3 第十条第一項第三号又は第十号の事業を行う組合は、事業年度ごとに、業務及び財産の状況に関する事項として農林水産省令で定めるものを記載した説…

農業協同組合に関する会計等について - vol.2 -

2.業務報告書 農協協同組合法 第54条の2 組合は、事業年度ごとに、業務及び財産の状況を記載した業務報告書を作成し、行政庁に提出しなければならない 業務報告書は次の事項について作成が必要です。 農業協同組合法施行規則 第202条 2 出資組合は、法第…

農業協同組合に関する会計等について - vol.1 -

農業協同組合(以下、「農協」)については、農業協同組合法等の法令により作成すべき決算書類が明示されています。ここでは農協が作成すべき決算書類としてどのようなものがあるのか?、また、それらはどのように作成すべきか?、といった論点を整理したい…

病院に関する会計 - vol.4 -

キャッシュ・フロー計算書は次の区分に分けて、資金収支の状況を表します。 ±業務活動によるキャッシュ・フロー・・・(A) ±投資活動によるキャッシュ・フロー・・・(B) ±財務活動によるキャッシュ・フロー ・・・(C) ±現金等の増加額(又は減少額) 現…

病院に関する会計 - vol.3 -

次は損益計算書についてです。 まずは目的について確認します。 病院会計準則 第28 損益計算書の作成目的損益計算書は、病院の運営状況を明らかにするために、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して当期純利益を表示し…

病院に関する会計 - vol.2 -

次は、財務諸表の各項目についてです。 まずは、貸借対照表について説明します。 貸借対照表の区分としては次のとおりです。 資産 - 流動資産 - 固定資産 負債 - 流動負債 - 固定負債 純資産 一般的な企業会計における貸借対照表と異なる部分は次のとおりで…

病院に関する会計 - vol.1 -

病院に関する会計については、厚生労働省から「病院会計準則」が公表されています。こちらは病院が作成する財務諸表のルールです。本稿では病院会計準則の内容について概説したいと思います。 まずは、病院会計準則の目的について確認します。 病院会計準則 …

取引相場のない株式の評価 - vol.2 -

次に各評価方式についてみていきます。 1.類似業種比準方式 類似業種比準価額は次の算式で求めます。 (計算式) 類似業種比準価額 = A × { (B÷E)+(C÷F)+(D÷G) } ÷ 3 × α A:類似業種の株価 B:評価対象会社の1株あたり配当額 C:評価対象会社…

取引相場のない株式の評価 - vol.1 -

取引相場のない株式については対象となる会社を以下の区分に分けた上で、定められた方法により評価します。 (同族株主以外の株主等が取得した株式・特定の評価会社の株式は除く) ■大会社 ・類似業種比準方式 ・純資産価額方式 ■中会社 ・次の算式により評…

非上場株式のみなし配当の特例 - vol.2 -

前回みた通り、みなし配当は配当所得として扱います。 ですが、次の要件に該当した場合、みなし配当も譲渡所得として課税されます。 (要件) ・対象株式は非上場株式であること ・譲渡収入(資本金等の払い戻し)があること ・みなし配当(利益積立金の払い…

非上場株式のみなし配当の特例 - vol.1 -

非上場株式についてはみなし配当についての特例が定められています。 そちらを確認する前に、みなし配当について整理します。 みなし配当とは、保有する株式を発行会社に譲渡した場合、資本の払い戻しに該当する部分を超過する金額を配当とみなして課税する…

ファクタリングの会計処理等 - vol.1 -

ファクタリングは、債権を決済期日前に譲渡する取引を指します。 ここではファクタリングの会計処理について整理します。ファクタリングは債権の譲渡契約に該当しますが、会計上、当該債権の譲渡が消滅の要件を満たしているかどうかがポイントになります。 …

租税公課の所得税法上の取り扱い

租税公課のうち、必要経費に算入できる項目として、次のような項目があります。 ・固定資産税 ・登録免許税(登録に要する費用を含み、その資産の取得価額に算入されるものを除く。) ・不動産取得税 ・地価税 ・特別土地保有税 ・事業所税 ・自動車取得税 …

目標の捕捉+経路の最適化

何かしら物事を達成することを考えた時、目標を定める必要があります。それは当然の話です。どのような目標を立てるのか?、それは議論の対象となり、皆、注力します。ですが、目標に至るまでの過程について深く議論されることは少ない印象です。 どのような…

デット・エクイティ・スワップ(DES)の税務 - 債務者サイド -

デット・エクイティ・スワップ(DES)の債務者サイドの処理についてみていきます。 DESにより増加する資本金等の価額は現物出資された債権の価額(時価)となります。債権の額面金額と時価との差額(時価<額面金額とします)が生じた場合は、債務免除益が生…

FX(外国為替証拠金取引)の税務処理

FX(外国為替証拠金取引)の所得税法の取り扱いは次のとおりです。 1.差金決済で差益が生じる場合 「先物取引に係る雑所得等」として取り扱い、所得税法上、税率15%で分離課税の対象となります。 2.差金決済で差損が生じる場合 他の「先物取引に係る雑…

デット・エクイティ・スワップ(DES)の税務 - 債権者サイド -

デット・エクイティ・スワップ(以下、「DES」)に関する概要は以前に投稿しました。 デット・エクイティ・スワップ - 債権者側の会計処理 - - かいけい日記 今回は税務面からDESについて整理します。 1.債権者サイド 適格要件を満たさない現物出資に関し…