利便性 = 汎用性 + 拡張性 + 簡潔性 + 明瞭性 vol.3
(vol.2より続く)
vol.2での話を会計、管理部門に限定して話を進めます。
どのような考えに基づいて制度を設計するのかが大切なポイントでした。
では、基本的な考えの基盤、制度設計の要点はどこにあるのでしょうか?
筆者は以下のように考えております。
利便性 = 汎用性 + 拡張性 + 簡潔性 + 明瞭性
利便性とは、会計という機能から得られる効用、求める水準を必要最低限の資源(人や時間、金銭等)で達成できたかを意味します。そして、成果は上記の4つの要素から成立すると考えています。
一つずつ説明します。
・汎用性
会計といったものは法令や基準の変更、企業環境の変化や取引種類によって処理の内容が異なります。そのように環境変化に対して柔軟に対応できることが会計が長い歴史を生き残ってきた理由とも言えます。
その際に、記録するための体制が毎回、大きく変化していたのでは対応するための余計なコストを払う必要があります。
外部要因の変化に対して、制度の大枠に対する変更が必要ないこと。そして、現行の体制が取り巻く取引を幅広く包含して処理することができる。
そのような汎用的な制度を作り上げることが1つめの要件です。
・拡張性
2つ目の要件は将来的に起こりうると想定されることに対して、対応できるような仕組みが整備されていることです。
これは汎用性と相反する関係にあるようですが、そうではありません。汎用性は取り扱う事柄について幅広く対応できることを要求するものですが、拡張性は将来的な発展や変化に対する対応を柔軟に行うことを意味します。
汎用的な制度、つまり、応用範囲が広い制度を作ることを必要としつつ、将来的な発展への対応を否定しない。
そういった柔軟性を含んだ考えが制度の設計に求められます。
(vol.4に続く)