かいけいがく vol.7 - 総論 Part.7 -

(vol.6から続く)

 

一般に現金の支払いと受け取りの時点で収益と費用を認識する考えを現金主義といいます。

 

現金主義(げんきんしゅぎ、Cash basis)とは会計概念の一つで、収益費用現金の受け渡しの時点で認識する会計原則を指す。

出典: 『現金主義』フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』最終更新 2021年5月4日 (火) 10:25 UTC、URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%BE%E9%87%91%E4%B8%BB%E7%BE%A9 

 

この考えでは現金を支払ったら費用を認識し、現金を受け取ったら収益を認識します。現金の動きに着目して損益計算を行うので、非常に明快な考え方だと言えます。

 

しかし、現代のように信用取引が広く浸透している社会においては、現金主義だと適正な損益計算を行えない場合があります。

 

以下の例で考えてみましょう。

例)、2019/12/1に掛け仕入で1,000円のメロンを仕入れた。2019/12/20に1,500円でこのメロンを売り上げることができた。

(掛け仕入の支払いは2020/1/31とする。)

 

(仕訳)

2019/12/1

仕入 1,000 / 買掛金 1,000

 

2019/12/20

現金 1,500 / 売上 1,500

 

2020/1/31

買掛金 1,000 / 現金 1,000

 

さっそくP/Lをつくってみましょう!

 

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現金の出入りに基づいて損益計算を行うと、このような結果となります。

2019年12月期の売上1,500円は1,000円で仕入れたメロンを売り上げたことに起因しますから、そちらと対応させて表記するほうが適切ですよね。

 

そこで、発生主義という考え方を採用します。

発生主義(はっせいしゅぎ、accrual basis)とは会計原則の一つで、現金の収入や支出に関係なく、経済的事象の発生または変化に基きその時点で収益または費用を計上しなければならないとするもの。

出典: 『発生主義』フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』最終更新 2021年5月3日 (月) 10:20  UTC、URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BA%E7%94%9F%E4%B8%BB%E7%BE%A9

 

つまり、実際の経済活動がいつ起こったのかに基づいて損益計算をしようというわけです。

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売上1,500円に仕入金額の1,000が対応して、利益500円が適切に計算されて表記されていますね。

 

発生主義は経済活動を適正に表すので、現代においてはこの考え方が採用されています。

 

前回に登場した”継続企業の前提”と”発生主義”は今日の会計において基本となる考え方です。よく言われる引当金の議論などもこの考え方が前提にあることから行う、会計の1つの技術に過ぎません。

 

さて、これで大まかではありますが会計の大枠については以上として、これから先は個別の論点を説明したいと思います。

 

これ以後の話は一見して複雑にみえるかもしれませんが、基本的なところではこれまでに説明したことが前提となっているということを思い出して頂ければ、頭の整理がしやすいかと思います。

 

(vol.8に続く)