かいけいがく vol.50 - 減損 Part.3 -

(vol.49から続く)

 

事例で減損会計の適用について考えてみましょう。

 

例)A社が保有する固定資産Xについて、当期末時点で減損の兆候が認められた。

  詳細な条件は以下のとおりである。

  

(前提条件)

・帳簿価額:10,000

・割引前将来CF:毎期1,500

・経済的残存使用年数:5年

・現在の正味売却価額:5,000

・5年後の正味売却価額:1,000

・適用する割引率:3%

 

認識の判定

   帳簿価額 - 割引前将来CF

= 10,000 - (1,500×5+1,000)= 1,500 > 0

 

よって、減損損失を認識する。

 

減損損失の測定  

・回収可能価額の算定

使用価値

1,500÷(1.03)+1,500÷(1.03)^2+1,500÷(1.03)^3

+1,500÷(1.03)^4+(1,500+1,000)÷(1.03)^5

=7,732(端数切捨て)

 

使用価値 > 正味売却価額なので、

回収可能価額=7,732となる。

 

減損損失 = 帳簿価額 - 回収可能価額

     = 10,000 - 7,732

     = 2,268

 

なお、減損損失を計上した後の減価償却は、減損損失を控除した後の

帳簿価額に基づいて行います。

 

企業会計審議会「固定資産の減損に係る会計基準

 

三 減損処理後の会計処理
1.減価償却
減損処理を行った資産については、減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行う。 

 

上記の例だと、残存使用期間5年、帳簿価額が7,732となるので、

定額法を前提とすると、毎期の償却額は次のとおりとなります。

7,732 ÷ 5 = 1,546(端数切捨て)

 

(vol.51へ続く)