かいけいがく vol.58 - 税効果 Part.3 -
(vol.57から続く)
ここで設例を用いて実際の会計処理を確認しましょう!
例)前提条件は以下の通りとする。
・A社は3月決算とする。
・前記以前の税務申告書の調整項目は考慮しない。
・法定実効税率は30%とする。
・繰延税金資産は全額回収可能性があるものとする。
・当期の課税所得の見積額は以下の通りとする。
税引前当期純利益 10,000
加算
貸倒引当金繰入限度超過額 1,000
棚卸資産評価損 600
交際費損金不算入額 200
加算計 1,800
減算
固定資産圧縮積立金繰入額 800
減算計 800
課税所得の見積額 11,000
(仕訳)
貸倒引当金繰入限度超過額
*1 1,000 × 30% = 300
棚卸資産評価損
*2 600 × 30% = 180
交際費損金不算入額
仕訳なし*3
*3 交際費は、税務上、その全額が永久に損金に算入されない。
よって、将来の課税所得を減額する効果を有さない。
企業会計の基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」
77. 一方で、次の項目のように、税引前当期純利益の計算においては収益又は費用として計上されるが、課税所得計算においては永久に税務上の益金又は損金に算入されないものは、将来において、課税所得を増額又は減額させる効果を有さないため、一時差異等には該当しない。
(1) 会計上、収益として計上された受取配当金のうち、課税所得計算において永久に税務上の益金に算入されないもの
(2) 会計上、費用として計上された交際費のうち、課税所得計算において永久に税務上の損金に算入されないもの
固定資産圧縮積立金繰入額
繰越利益剰余金 560*4 / 圧縮積立金 560
*4 800 × (1 - 0.3) = 560
*5 800 × 30% = 240
上記のように、将来的に課税所得の増額又は減額の効果を有する取引について、回収又は支払が見込まれる金額を税金の前払い相当として繰延税金資産、税金の未払い相当として繰延税金負債に計上することになります。
(vol.59へ続く)