みんなで利用することによってコミュニティが生まれていく
最近、ニュースなどでシェアリングエコノミーという言葉を
よく聞くという方も多いかと思います。
遊休資産を有効活用するといった意味合いで、モノ・サービスを有している貸し手が、それを必要とする借り手との間で、モノ・サービスをやり取りします。
貸し手は遊んでいる資源を有効活用でき、借り手は購入して所有することなく、モノやサービスを利用できるので、節約にもなります。
形態としては昔からあったように思います。
例えば、次のような場合はずっと形としてあったでしょう。
・遠方の親戚がお盆などに遊びにきた時に、自宅の部屋を使ってもらう場合
・友達からマンガを貸してもらう場合
・旅行に行く時に、ヒッチハイクを利用する場合
金銭をやり取りするかどうかは別として、遊んでいる資源を取引することは、
新しい現象ではありません。
では何故、今になってこれほどまでにシェアリングエコノミーなるものが流行っているのでしょうか?
インターネットの普及、そして誰もがスマートフォンを持っているということが大きいのではないでしょうか?
世界中の人々を光の速さで結びつけることができるようになり、どんなところにいる人とでもネットが接続できれば、コミュニケーションが取れるようになっています。
スマートフォンで検索すれば、どんなサービスでも提供者がみつかります。
その容易さ、情報交換に伴うコストの低下がシェア文化の普及に貢献していると思います。
代表的なもので、Airbnbがあります。
どこかに泊まりたい人と、空いている部屋を提供してもいいよ!という人を結びつけるサービスです。私も利用していますが、泊まる場所を探すことから、実際に予約する、代金を決済することまでストレスなくなめらかに行なえます。
スマートフォンひとつで、5分、10分くらいで部屋の確保ができるので、
わざわざ他の予約サイトなどを利用しようとは思わなくなりました。
借り手と貸し手の相互レビュー制度もあり、
お互いにどんな人なのかを知ることもできます。
一昔であったら、このような自分の部屋の貸し借りを行うのは血縁や地縁などによる、つながりのある知り合い同士に限られたことでしょう。
それが今では、全く知らない人、それまで面識がなかった人でも、取引がおこなえるようになっています。
これは世の中に眠っている資源の有効活用をかなり促進したのではないでしょうか?
取引に伴うコストが大幅にさがったので、利用者が増えた印象です。
もうひとつ、こちらのほうが重要なのですが、
モノやサービスをやり取りする中で、お互いのことをよく知ること、
関係をつくっていくことにより、多様な人間関係が生まれる契機となることです。
例えば、典型的なつながりの形だと次のようなものがあります。
・血縁
・地縁(近所、学校)
・職場
・趣味のサークル
今でもそういったつながりは有効ですが、多様な関係が重層的につくりあげる、
様々なきっかけが生まれていく、そんなイメージをもっています。
ネット上の言論空間もひとつの形態でしょう。
匿名性の空間では、お互いのことをよく知らなくても、
共通の関心事をテーマにして意見を交換することができます。
この場合のつながりをつくるキーは”共通の関心事”です。
それは野球やサッカー、ゲームや料理、お笑いや技術など、多岐に渡るでしょう。
シェアリングエコノミーでは、このつながりをつくるキーが、
特定の”モノ・サービス”になるでしょう。
自分というものが、多様なコミュニティに複数存在している。
関与の深さや割り当てる注意は様々ですが、自分というものが広がっていく、
そのようなイメージです。