かいけいがく vol.71 - セグメント情報 Part.1 -
(vol.70から続く)
今回はセグメント情報について取り上げましょう。
ひとつの会社の中でも色々な事業を行っている会社さんもありますよね。
その場合に事業単位ごとに業績を報告しましょう!
というのが、セグメント情報の報告制度です。
では会社はどうやって報告することになるのでしょうか?
国際的な会計基準との整合性を図るため、『マネジメント・アプローチ』というものを
採用することにしています。
マネジメント・アプローチとは、経営上の意思決定を行い、業績を評価するために、
経営者が企業を事業の構成単位に分別した方法を基礎とするやり方です。
この方法には次のようなメリットがあるとされます。
企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」
(1) 財務諸表利用者が経営者の視点で企業を見ることにより、経営者の行動を予測し、その予測を企業の将来キャッシュ・フローの評価に反映することが可能になる。
(2) 当該セグメント情報の基礎となる財務情報は、経営者が利用するために既に作成されており、企業が必要とする追加的費用が比較的少ない。
(3) 実際の企業の組織構造に基づく区分を行うため、その区分に際して恣意性が入りにくい。
財務諸表の利用者が過去の業績等を理解して、将来キャッシュ・フローを評価する際に、経営者と同じ目線で企業をみることになるので、有用な情報を入手することができます。
また、既に作成された情報なので、追加費用が少なくなることが期待できます。
また、組織構造に由来する区分を用いるので、恣意性の排除に繋がります。
マネジメント・アプローチに基づき企業は以下の情報を開示することになります。
(1) セグメント情報
(2) セグメント情報の関連情報
(3) 固定資産の減損損失に関する報告セグメント別情報
(4) のれんに関する報告セグメント別情報
(補足)
文中に「国際的な会計基準との整合性を図るため・・・」といった表現が出てきました。会計基準は大まかに分けると、以下のとおりです。
・J-GAAP(日本基準)
国際的に活動する企業が増えてきており、モノやサービスが国境を超えてやりとりされる現代においては、企業の業績を報告する基本となる会計基準をどのように設定するのかは大きな問題です。
会計基準が各国バラバラに作成されていては、比較可能性を問題が残ります。
そこで、2つのアプローチが考えられます。
・コンバージェンス:自国の基準を採用しながら、他の基準との差異を調整する方法
・アドプション:強制的に他の基準に合わせること
日本基準も国際基準と歩調を合わせる形で、
不整合がないように順次改訂を行っているのが現状となります。