かいけいがく vol.85 - 内部統制 Part.1 -

(vol.84から続く)

 

今回からは内部統制について解説していきます。

 

相次ぐ企業の不祥事を契機として、アメリカで制定されたサーベンス・オクスリー法SOX法)を基に制定されたものが、ゆわゆる日本版SOXJ-SOX)といわれるものです。

 

現行制度上、内部統制については金融商品取引法第193条の2第2項において、

要件を満たす者は、内部統制報告書について特別の利害関係のない公認会計士又は

監査法人の監査証明を受ける必要があります。

 

また、企業会計審議会からは内部統制にかかる基準が公表されております。

(「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」、

「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」)

 

まずは定義を確認しましょう。

 

内部統制

以下の4つの目的が達成されるとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいいます。

 

・業務の有効性及び効率性

・財務報告の信頼性

・事業活動に関わる法令等の遵守

・資産の保全

 

また、以下の6つの基本的な要素から構成されます。

 

・統制環境

・リスクの評価と対応

・統制活動

・情報と伝達

・モニタリング(監視活動)

・IT(情報技術)への対応

 

まずは目的について、ひとつずつみていきましょう。

 

○ 業務の有効性及び効率性

事業活動の目的の達成のため、業務の有効性及び効率性を高めることをいう。

 

○ 財務報告の信頼性

財務諸表及び財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある情報の信頼性を確保することをいう。

 

○ 事業活動に関わる法令等の遵守

事業活動に関わる法令その他の規範の遵守を促進することをいう。

 

○ 資産の保全

資産の取得、使用及び処分が正当な手続及び承認の下に行われるよう、資産の保全を図ることをいう。

 

上記の4つの目的はそれぞれ独立していますが、相互に関連するものです。

 

企業の経営者はこれらの目的を達成するために、基本的要素が組み込まれたプロセスを

整備、運用していく必要があります。

そのために、すべての基本的要素が有効である必要があり、それぞれの基本的要素はすべての目的に必要な関係にあります。

 

(vol.86へ続く)