未公開企業のストック・オプションに関する取り扱い - 税務編 vol.1 -
ストック・オプション(以下、SO)については多様な領域にまたがる論点がありますが、その中でも税務に関する事柄は重要です。
これから上場をしようという会社さんでは資金繰り等の理由により、金銭報酬を十分に支払えない場合もあります。
そうした状況でも会社の成長に貢献してくれる取締役や従業員の方々の貢献に報いるために、SOを付与する場合があります。
例えば、行使価額が100円のSOを付与して将来、株価が200円に値上がりしたとします。その場合、(200-100)=100円が付与された方の利益となります。
このように会社の成長に伴う株価の上昇が働く人達の動機づけとなります。
ただし、税務が絡むと話はちょっと複雑です。
SOの取得から権利行使、そして売却までは以下のように区分されます。
①取得時
②権利行使時
③譲渡時
この時、「税制非適格」と呼ばれるSOだと次のような課税関係になります。
② - ①:給与所得等として課税されます。
課税対象:(式)(権利行使時株価 - 権利行使価格)×株式数
③ - ②:譲渡所得として課税されます。
課税対象:(式)(売却価格 - 権利行使時株価)×株式数
(参考リンク)
給与所得等として課税された場合、住民税と合わせた税率は最高で55%になります。
その後、更に譲渡所得として課税されることになるので、せっかくSOを付与された取締役や従業員の方々のやる気を大幅に損なってしまいます。
そこで、上記の問題を解決する「税制適格」という仕組みがあります。
税制適格型のSOは、課税時期を株式の譲渡時までに繰り延べることができます。
そうすると、譲渡所得としての課税となり、税率は約20%の課税関係で完了します。
このように税務上の大きなメリットがある税制適格制度ですが、
いくつかの要件を満たす必要があります。
(vol.2へ続く)