かいけいがく vol.90 - 1株あたり情報 Part.1 -

(vol.89から続く)

 

今回からは1株あたり情報について解説します。

1株あたり情報は有価証券報告書や計算書類といった開示書類で記載することが、

法令等により要求される事項です。

 

まずは定義を確認しておきましょう。

 

企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準

 

1株当たり当期純利益

普通株式に係る当期純利益 ÷ 普通株式の期中平均株式数

= (損益計算書上の当期純利益普通株主に帰属しない金額)

     ÷ (普通株式の期中平均発行済株式数-普通株式の期中平均自己株式数)  

 

なお、連結財務諸表上では、当期純利益は親会社株主に帰属する利益となります。

 

いくつか言葉の意味するところを明らかにしておきましょう。

 

普通株主に帰属しない金額とは、優先配当額などの剰余金配当関連の普通株主に帰属しない部分を意味します。

・自己株式数には、子会社及び関連会社が保有する親会社等が発行する普通株式数のうち、親会社等の持分に相当する株式数を含めます。

 

例)前提となる条件は以下の通りとする。

当期純利益:1,000,000,000円

・期中平均株式数:20,000,000株

普通株主に帰属しない金額:優先配当額20,000,000円

 

(計算式)

普通株式に係る当期純利益 = 1,000,000,000円 - 20,000,000円

                                            =  980,000,000円

普通株式の期中平均株式数 = 20,000,000株

 

1株あたり当期純利益 = 980,000,000円 / 20,000,000株 = 49円/株

 

(参考)

企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準

企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」

 

(vol.91へ続く)