かいけいがく vol.94 - 新株予約権 Part.1 -
(vol.93から続く)
今回からは新株予約権について解説していきます。
まずは定義を確認しましょう。
会社法 第2条第21項
新株予約権 株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。
(新株予約権を活用する取引としては、ストック・オプションがあります。
こちらの投稿を参照ください。)
会計処理はどうなるのでしょうか?
<発行者>
発行時
新株予約権を発行した時は、払込に伴う金額を純資産の部に、
「新株予約権」として計上します。
(仕訳)
現金 ×× / 新株予約権 ××
権利行使時
・新株を発行する場合
新株予約権の発行に伴う払込金額と権利行使に伴う払込金額の合計額を、
資本金又は資本金及び資本準備金に振り替えます。
(仕訳)
現金 ×× / 資本金 ××
・自己株式を処分した場合
処分したときの対価*1と処分したときの自己株式の帳簿価額との差額は、
資本剰余金として処理します。
*1 新株予約権の発行に伴う払込金額と権利行使に伴う払込金額の合計額
(仕訳)
現金 ×× / 自己株式 ××
新株予約権 ×× その他資本剰余金 ××
失効時
権利行使期間が満了したときは、該当する額を当期の利益(原則、特別利益)に計上します。
(仕訳)
<取得者>
取得時
有価証券の取得として処理します。
(仕訳)
投資有価証券 ×× / 現金 ××
権利行使時
売買目的有価証券 → 時価
その他有価証券 → 帳簿価額
(仕訳)
投資有価証券 ×× / 投資有価証券 ××
現金 ××
譲渡時
受取対価と新株予約権の帳簿価額との差額を当期の損益として処理します。
発行者に譲渡した場合も同様です。
(仕訳)
対価 ×× / 投資有価証券 ××
譲渡益 ××
(失効時)
権利行使期間が満了して権利が失効したときは、新株予約権の帳簿価額を当期の損失として処理します。
(仕訳)
失効損 ×× / 投資有価証券 ××
(vol.95へ続く)