かいけいがく vol.101 - 後発事象 Part.1 -

(vol.100から続く)

 

今回は後発事象について取り扱います。

 

まずは定義です。

 

監査・保証実務委員会報告第76号「後発事象に関する監査上の取扱い」

 

(4) 後発事象とは、決算日後に発生した会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす会計事象をいい、このうち、監査対象となる後発事象は、監査報告書日までに発生した後発事象のことをいう。 

 

こちらの後発事象は2つに分類させれます。

 

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修正後発事象:会計事象の原因が決算日に既に存在しており、財務諸表を修正する

       必要がある事象

 

開示後発事象:発生した会計事象が翌期以降の財務諸表に影響を与えるため、財務諸表   

       に注記を行う必要がある事象

 

なお、重要な後発事象は注記をすることがルール上、求められます。

 

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則

 

(重要な後発事象の注記)
第八条の四 貸借対照表日後、財務諸表提出会社の翌事業年度以降の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす事象(以下「重要な後発事象」という。)が発生したときは、当該事象を注記しなければならない。 

 

会社計算規則

 

(注記表の区分)
第九十八条 注記表は、次に掲げる項目に区分して表示しなければならない。 

・・・

十七 重要な後発事象に関する注記

・・・

 

修正後発事象に該当する事象としては以下のような場合が考えられます。

 

・決算日以後に訴訟事件が解決して、決算日に債務が存在していたことが明らかになった場合、偶発債務として扱うのではなく、引当金の修正又は新規計上を行う。

 

・決算日以後に取引先が倒産等して、決算日において売上債権に損失があることが裏付けられた場合、貸倒引当金を追加計上しなければならない。

 

また、開示後発事象に該当する事象として以下の事例が考えられます。

 

金融庁総務企画局 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン

 

8の4 規則第8条の4に規定する重要な後発事象とは、例えば次に掲げるものをいう。
1 火災、出水等による重大な損害の発生
2 多額の増資又は減資及び多額の社債の発行又は繰上償還
3 会社の合併、重要な事業の譲渡又は譲受
4 重要な係争事件の発生又は解決
5 主要な取引先の倒産
6 株式併合及び株式分割  

 

上記の事象はあくまでも例示であり、修正後発事象か開示後発事象に該当するのかは、

実質的かつ慎重に判断することが求められます。

 

(参考)

監査・保証実務委員会報告第76号「後発事象に関する監査上の取扱い」

 

(vol.102へ続く)