かいけいがく vol.105 - 法人税 Part.3 -

(vol.104から続く)

 

ここで別表4をみると、「留保」と「社外流出」という文言があるかと思います。

これは一体何でしょうか?

 

出資の見返りとして、会社は利益のうちの何割かは株主に配当金という形で支払うことになります。

例えば、会社が決算を締めて利益を算定したところ、当期は10,000と算定されたとします。このうち3割、つまり3,000を株主に配当するとします。

手元には差し引き、7,000が残ることになります。

 

別表4では利益のうち、会社に残された7,000のことを留保、配当として支払われた3,000を社外流出として表現します。

 

もう少し、設例で確認してみましょう。

例)前提条件は以下の通りとする。

・期首利益準備金:100

・期首繰越利益剰余金:3,000

当期純利益:1,000

・当期配当支払額:500

・配当に伴う利益準備金の積立:50

 

【Ⅰ利益積立金額の計算に関する明細書】

利益準備金:期首100 + 増加50 = 期末150

繰越損益金:期首3,000 - 3,000 + 3,450*1 = 期末3,450

 

*1 配当金支払について仕訳形式で表すと次のとおりです。

 

(仕訳)

繰越利益剰余金 550 / 利益準備金 50

            配当支払  500

 

正味の繰越利益剰余金の増減は次のように求められます。

当期純利益1,000 - 剰余金の配当550 = 450

 

期首の残高に加算します。

3,000 + 450 = 3,450

 

 

さてここで、計算が正しく行われているのかを確かめてみましょう。

 

別表5(1)御注意 1

期首現在利益積立金額合計「31」①

+別表四留保所得金額又は欠損金額「49」

- 中間分,確定分法人税県市民税の合計額

= 差引翌期首現在利益積立金額合計「31」④

 

上記の等式に当てはめて検算してみましょう!

 

(左辺)

期首利益積立金:3,100 + 当期所得金額:500

= 3,600・・・①

 

(右辺)

期末利益積立金:3,600・・・②

 

①=②となるので、計算は正しく実行されていることがわかります。

 

(vol.106へ続く)