権利確定条件付き有償新株予約権の取り扱い - 会計編 -
権利確定条件付き有償新株予約権の会計処理についてみてみましょう。
こちらの処理は、実務対応報告第36号「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」に準拠しますが。
当該実務対応報告に定めがない場合は、ストック・オプションに関する会計基準及び同適用指針(企業会計基準第 8 号「ストック・オプション等に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第 11 号「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針 」)を参照することになります。
権利確定日前
・従業員等からの払込金額
→純資産の部の新株予約権に計上
(仕訳)
現預金 ×× / 新株予約権 ××
・企業が従業員等から取得するサービス
→取得に対応して費用計上する。また、対応する金額を新株予約権に計上する。
(仕訳)
株式報酬費用 ×× / 新株予約権 ××
・各期の費用処理額
→(公正な評価額*1 - 払込金額)のうち、合理的な方法により当期に発生した金額を算定する。
*1 公正な評価単価 × 有償新株予約権数
・権利不確定による失効
→利益として計上する。
(仕訳)
権利確定日後
・権利行使
→新株を発行した場合、新株予約権計上額のうち、対応する部分を払込資本に振り替える。
(仕訳)
現預金 ×× / 資本金 ××
新株予約権 ××
・権利失効
→新株予約権計上額のうち、対応する部分を利益として計上する。
(仕訳)
基本的な考え方として、権利確定条件付き有償新株予約権の付与の性格としては金銭の払込みによる「投資」ではなく、労働サービスの提供に対する「報酬」として取り扱います。
なお、一部の場合についても実務対応報告では言及されています。
実務対応報告第36号「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」第4項
・・・ただし、権利確定条件付き有償新株予約権が従業員等から受けた労働や業務執行等のサービスの対価(ストック・オプション会計基準第 2 項(4))として用いられていないことを立証できる場合、・・・の会計処理は、企業会計基準適用指針第 17 号「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理」(以下「複合金融商品適用指針」という。)に従う。