取締役等の報酬等として株式を無償交付する取引の会計処理 - vol.2 -

(vol.1から続く)

 

(2)自己株式を処分する場合

こちらも設例を用いてみていきます。

 

例)前提条件は次のとおりとする。

・x1年6月に取締役5名に対して会社法第 202 条の 2 に基づく株式の交付を行うことを決議し、同年7月に割当を行った。

・取締役1名につき100株を交付

・譲渡制限あり、x4年7月に解除される

・取締役が自己都合で退任した場合、割り当てた株式は会社が無償で取得する。

・付与日における公正な評価単価:3,000円/株

・x3年6月までの退任見込み:1名、実際の退任:x3年3月期に1名

・割り当てた株式はすべて自己株式である。

・交付した自己株式(5,000株)の帳簿価額は2,000,000(単価400円/株)

・会社の決算期は3月期とする。

 

会計処理

■自己株式の処分

(仕訳)

その他資本剰余金 2,000,000 / 自己株式 2,000,000*1

*1 処分した自己株式の帳簿価額を減額して、同額をその他資本剰余金から減額する。

 

■期末時 - x2年3月期

報酬費用 450,000*2 / その他資本剰余金 450,000

*2 100株/人 × 3,000円/株 × (5−1)人 × 9/24 = 450,000円

 

■期末時 - x3年3月期

(仕訳)

報酬費用 600,000*3 / その他資本剰余金 600,000

*3 100株/人 × 3,000円/株 × (5−1)人 × 21/24 - 450,000

= 600,000

 

■取締役退任に伴う自己株式の無償取得

(仕訳)

自己株式 40,000*4 / その他資本剰余金 40,000

*4 没収による自己株式の無償取得をおこなった場合、割当日に減額した自己株式の帳簿価額のうち、無償取得に相当する部分(400円/株×100株=40,000)について自己株式を増額して、同額をその他資本剰余金から増額する。

 

■期末時 - x4年3月期

(仕訳)

報酬費用 150,000*3 / その他資本剰余金 150,000

*3 100株/人 × 3,000円/株 × (5−1)人 × 24/24

- (450,000 + 600,000) = 150,000

 

(vol.3へ続く)