任意組合等に対する出資者(組合員)に関する会計処理 - vol.1 -

「ファンド」とワードは経済ニュースなどで取り上げられることが多いですが、

「実際、ファンドって何?」、「よくわからないけど多くの資金を運用してる?」、

といった認識が一般的であるかと思います。

 

ですが、実際のところ、多くの場面で「ファンド」は登場して重要な役割を果たします。

 

まずは、「ファンド」とは何なのか?、ということについて整理しましょう!

 

「ファンド」は、「投資事業組合」、「投資ファンド」といったように呼称されることもあります。これ以降では、「投資事業組合」と呼ぶことにします。

 

これらは投資家からお金を集めて運用して、獲得した利益を投資家に分配することを目的とするものです。

 

投資事業組合は、法的な根拠の別に分類されます。

ここでは3つほどみてみましょう。

(<>内は根拠となる法律)

 

<民法>任意組合

<商法>匿名組合

<LPS法*1>投資事業有限責任組合

*1 正式な名称は「投資事業有限責任組合契約に関する法律

LPS = Limited Partnership

 

①<民法>任意組合

 

民法には次のような条文があります。

民法 第667条

組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。 

 

上記の条文を根拠とするのが、任意組合です。

 

②<商法>匿名組合

 

商法には匿名組合に関する条文が第535条〜542条まで続きます。

 

商法 第535条

匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。 

 

匿名組合では、実際に業務を失効する者を「営業者」、出資する者を「匿名組合員」と呼びます。

 

任意組合が共同して事業を営むのに対して、匿名組合は業務の執行は営業者に限定される点等が異なります。

 

③<LPS法>投資事業有限責任組合

 

いきなりイカツイ言葉が出てきますが、まずは「投資事業有限責任組合」(以下、LPS)という言葉について、定義を確認しましょう。

 

投資事業有限責任組合契約に関する法律 第2条第2項

この法律において「投資事業有限責任組合」とは、次条第一項の投資事業有限責任組合契約によって成立する無限責任組合員及び有限責任組合員からなる組合をいう。 

 

LPSは無限責任組合員が業務の執行を行い、それ以外の組合員は出資額を限度とする責任を負うのみです。

 

LPSは登記が必要であることや、公認会計士による監査が必要であることなどが、

任意組合や匿名組合とは異なる点です。

 

(vol.2へ続く)