有限責任事業組合(LLP:Limited Liability Partnership)について
「有限責任事業組合契約に関する法律」に定められる有限責任事業組合契約に基づいて成り立つのが、有限責任事業組合(以下、LLP)です。
第二条 この法律において「有限責任事業組合」とは、次条第一項の有限責任事業組合契約によって成立する組合をいう。
第三条 有限責任事業組合契約(以下「組合契約」という。)は、個人又は法人が出資して、それぞれの出資の価額を責任の限度として共同で営利を目的とする事業を営むことを約し、各当事者がそれぞれの出資に係る払込み又は給付の全部を履行することによって、その効力を生ずる。
LLPを理解する際のポイントとして、いくつかの特徴があげられます。
ここでは次の3つについてみていきます。
①有限責任性
②内部自治
③共同事業性
①有限責任性
株式会社と同様に、出資者は出資額を限度とする責任を負うのみです。
この点は匿名組合や投資事業有限責任組合(LPS)等と異なります。
第十五条 組合員は、その出資の価額を限度として、組合の債務を弁済する責任を負う。
その代わりに、債権者保護のためのルールが整備されています。
・組合契約に関する登記
第五十七条 組合契約が効力を生じたときは、二週間以内に、組合の主たる事務所の所在地において、次に掲げる事項を登記しなければならない。
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・財務諸表等の開示請求
第三十一条 6 組合の債権者は、当該組合の営業時間内は、いつでも、財務諸表(作成した日から五年以内のものに限る。)及び組合契約書について、次に掲げる請求をすることができる。
一 財務諸表及び組合契約書が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 財務諸表及び組合契約書が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を経済産業省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
・財産の分配に関する制限
第三十四条 組合財産は、その分配の日における分配可能額(組合員に分配することができる額として純資産額の範囲内で経済産業省令で定める方法により算定される額をいう。次条において同じ。)を超えて、これを分配することができない。
②内部自治
株式会社で要求される取締役会や監査役会の設置は強制されません。
機関設計は比較的柔軟に行うことが認められています。
また、損益の分配について出資割合によらない分配をすることができます。
③共同事業性
組合の業務執行については、原則として、出資者全員の同意に基づいて行うこととされます。
第十二条 組合の業務執行を決定するには、総組合員の同意によらなければならない。・・・
また、税務上の特徴として構成員課税が挙げられます。
これはLLPで利益があった場合、LLP段階で法人課税されずに、
出資者への利益分配に直接課税されることを意味しています。