Convertible Securitiesに関する主な論点についての整理 - vol.2 -
Convertible Securitiesに区分される投資スキームとしてはいくつかありますので、
順番にみていきましょう。
ひとつひとつの手法がどの点で異なるのかに着目すると、理解が捗ると思います。
アメリカで行われる投資の多くはConvertible Noteによって実行されると言われます。
資金を貸し付けて、将来のファイナンスの時点で当該貸付を株式に転換するというものです。
Convertible Noteのメリットしては、手続きが簡素で済むことや資金調達の際、精緻な企業価値評価(Valuation)の必要がないことがあげられます。
将来時点でConvertible Noteをどのように株式に転換するのかについては、
前回で解説したディスカウントやキャップの条件等の設定が行われます。
では同じ仕組みを日本で利用する場合にはどうするのでしょうか?
Convertible Noteと同様の仕組みを実現するための手段として、貸付金や転換社債型新株予約権付社債を利用することになります。
ですが、この場合、次のような問題点があります。
・B/S上では負債に区分されるので、債務超過の可能性があること、関係者の理解が得られない場合等が想定されること
・社債という負債であるので、利息を支払う必要があること、満期が到来すれば返済の必要があること
・発行する際には相当程度の事務負担があること
上記事項を解決するために、様々な方法が考えられます。
利払いや返済義務を回避するために、ゼロクーポン・無担保永久劣後債型として新株予約権付社債を発行すればよいでしょう。
その場合でも、負債に区分されることは変わりありませんですし、社債である以上は、
会社法規制の対象となります。
負債計上を避けるために、例えば種類株式を発行した場合でも、定款を変更する必要がありますし、種類株主総会の開催が必要となります。
目標とする条件としては、次のようになるかと思います。
「満期も利払いもなく、負債計上ではなく純資産の部で計上する。
発行や運用、転換時のコスト負担が低い方法」
では、そのような条件をクリアする方法はどのようなものが考えられるでしょうか?
(vol.3へ続く)