<Valuation>会社や事業に関する評価 - vol.3 -

 

・マーケット・アプローチ

マーケットにおける取引価額等を基にして評価を行う方法ですが、

いくつかの評価手法があります。

ここでは、株価倍率法を取り上げましょう。

 

株価倍率法はマーケットにおける上場会社の株価情報を基にして、

非上場会社の株式を評価する手法です。

 

株価倍率法を用いた評価はおおよそ次の手順を踏みます。

 

①評価対象となる会社の類似する上場会社を選定する

②上場会社の時価総額を利益等の財務数値で割って株価倍率を算定する

③非上場会社の財務数値に株価倍率をかけることで、対象企業の価値を算定します。

 

例)

類似する上場会社

時価総額:50億円 ÷ 当期純利益:5億円 = 株価倍率:10倍

 

評価対象とする非上場会社

当期純利益:3億円 × 株価倍率:10倍 = 時価総額:30億円

 

倍率の算定に利用する財務数値としては当期純利益以外にも次のような指標があります。

 

・売上高

・EBIT

・EBITDA

・PER

・PBR

 

ここで各指標について簡単に解説します。

 

EBITはEarnings Before Interest and Taxesを略したもので、利息と税金を差し引く前の利益を表します。

 

算定式は数パターン考えられますが、例えば次のような算式で求められます。

EBIT = 経常利益 + 支払利息 - 受取利息

 

EBITDAはEarnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortizationを略したもので、EBITから償却費の負担を影響を除いたものです。

 

EBITDA = EBIT + 減価償却

 

PERはPrice Earnings Ratioを略したもので、一株あたり利益に対する株価の比率を表します。

 

PER = 株価 ÷ 一株あたり当期純利益(EPS)

 

PBRはPrice Book-value Ratioを略したもので、一株あたり純資産に対する株価の比率を表します。

 

PBR = 株価 ÷ 一株あたり純資産

 

株価倍率法の採用にあたっては、類似企業は通常は1社ではなく、複数社とするのが一般的ですが、その場合でも何社を対象とするのか?、対象とする計算期間は単年度か、複数年度か?、流動性等によるディスカウントをどの程度見込むのか?、等を考慮した上で実際の算定を行う必要があります。

 

(vol.4へ続く)