かいけいがく vol.109 - 法人税 Part.7 -

前回までに、交際費や寄附金の取り扱いをみてきました。

この他にも様々な税務上の取り扱いがありますが、一旦はここまでにします。

(とても説明しきれそうにありませんので・・・)

必要に応じて、法令や参考書籍を参照してください。

 

今回は、欠損金の取扱いについて、説明させていだきます。

 

まずは言葉を確認しましょう。

法人税法 第2条

十九 欠損金額 各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額が当該事業年度の益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。 

 

復習になりますが、法人税は益金から損金を差し引いて所得を計算します。

 

益金 - 損金 = 所得

 

ここで次のような例を考えてみましょう。

(欠損金の繰越控除は考慮しないものとします)

 

例)各期の所得金額は次のとおりとする。

・x1年3月期:100、x2年3月期:△1,000、x3年3月期:500、

x4年3月期:△300、x5年3月期:200

・税率は30%とする。

 

(計算)

各期の所得の金額に税率を乗じることで納めるべき税額を算定します。

 

x1年3月期

100 × 30% = 30

 

x2年3月期

欠損のため、0

 

x3年3月期

500 × 30% = 150

 

x4年3月期

欠損のため、0

 

x5年3月期

200 × 30% = 60

 

さてここで、x1期〜x5期までの所得金額を合算してみましょう。

(それ以降も企業は継続しますが、一旦はここまでで考えます)

 

(計算)

100 + △1,000 + 500 + △300 + 200 = △500

 

事業年度の考え方は便宜的に区分した期間であり、単年度では業績がいいときもありますし、悪いときもあります。本来的には長期的に企業の業績を考慮して、税金の支払い能力(担税力)を考える必要があります。

 

上記の課題を解決する制度が欠損金の繰越控除の制度です。

 

青色申告を行っている等、一定の要件を満たした場合に欠損金額を翌年以降に繰り越して、各期の所得金額と合算しましょうという制度です。

 

青色欠損金の繰越期間は最大9年間*1です。

*1 平成30年4月1日以後に開始する各事業年度において生じた欠損金額については10年

 

各期の所得から控除できる欠損金額は次のとおりです。

(1) 平成24年4月1日~平成27年3月31日開始事業年度・・・100分の80
(2) 平成27年4月1日~平成28年3月31日開始事業年度・・・100分の65
(3) 平成28年4月1日~平成29年3月31日開始事業年度・・・100分の60
(4) 平成29年4月1日~平成30年3月31日開始事業年度・・・100分の55
(5) 平成30年4月1日~開始事業年度・・・100分の50

 

なお、資本金が1億円以下の中小企業は各期の所得の金額まで控除できます。

(但し、一定の支配関係がある場合を除きます)

 

(参考)

No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|国税庁

 

(vol.110へ続く)