かいけいがく vol.130 - 原価計算 Part.4 -
前回までは実際原価計算制度について解説してきましたが、今回は標準原価計算制度についてみていきます。原価計算基準上、標準原価計算を行う目的として以下の事項が挙げられています。
(1)原価管理を効率的にするため
(2)売上原価および棚卸資産価額の算定の基礎とするため
(3)予算作成の基礎を提供するため
(4)記帳の簡略化・迅速化
標準原価計算における各原価要素は次のとおりに算定します。
標準直接材料費 = 標準消費量 × 標準価格
標準直接労務費 = 製品単位あたりの直接作業の標準時間 × 標準賃率
製造間接費の標準 = 一定期間において、各部門で発生すべき製造間接費の予定額
標準製品原価は、製品の一定単位について標準直接材料費、標準直接労務費等を集計し、標準間接費配賦率に基づいて算定した標準間接費配賦額を加えて算定します。
最後に、原価差異の取り扱いについてです。
原価計算基準 44
原価差異とは実際原価計算制度において,原価の一部を予定価格等をもって計算した場合における原価と実際発生額との間に生ずる差額,ならびに標準原価計算制度において,標準原価と実際発生額との間に生ずる差額(これを「標準差異」となづけることがある。)をいう。
原価差異の会計処理としては次のとおりです。
・材料受入価格差異を除いて、原則、売上原価に賦課する。
・材料受入価格差異は払出高と期末有高に配賦する。
・比較的多額の原価差異が生じる場合、つぎのように処理する。
−個別原価計算
以下のいずれかの方法を採用する。
①売上原価と棚卸資産に指図書別に配賦する。
②売上原価と棚卸資産に科目別に配賦する。
−総合原価計算
売上原価と棚卸資産に科目別に配賦する。
標準原価計算制度における原価差異も実際原価計算制度における原価差異と同様に扱います。ただし、異常な状態に基づくと認められる場合、これは非原価項目とします。
(vol.131へ続く)