みなし譲渡課税の処理について vol.2

3.法人から法人

譲渡人の法人から譲受人である法人に譲渡取引があった場合、時価で取引があったものとされます。ですので、取引金額が時価であれば、譲渡人である法人では譲渡収入から取得費と譲渡費用を差し引いた金額に法人税が課税されますが、譲受人である法人には課税が生じません。

 

しかし、取引金額が時価よりも低い場合、譲渡人である法人では時価と取引金額との差額が寄付金として取り扱われます。一定限度以上の金額は損金不算入の対象となります。また、譲受人である法人では時価と取引金額との差額が受贈益として課税されます。

 

法人税法 第25条の2

3 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与を受けた場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与を受けたと認められる金額は、前項の受贈益の額に含まれるものとする。

 

4.法人から個人

 

譲渡人である法人は時価により譲渡したものとされます。譲渡人である法人では譲渡収入から取得費と譲渡費用を差し引いた金額に法人税が課税されることになります。一方、譲受人である個人には課税されません。

 

しかし、取引金額が時価より低い金額だった場合、次のように課税関係が生じます。

 

(A)譲受人:役員や従業員の場合

時価と売却額との差額が役員であれば役員賞与、従業員であれば賞与として取り扱われます。一方、譲受人である役員、従業員では時価と購入額との差額は給与所得として課税されることになります。

 

(B)譲受人:第三者の場合

時価と売却額との差額は寄付金として取り扱います。一定限度以上は損金不算入の対象となります。一方、譲受人である個人では時価と購入額との差額は事業所得または雑所得として所得税が課税されます。