かいけいがく vol.137 - 時価 Part.2 -

時価を算定する際の仮定(インプット)について整理したところで、次に時価の算定の技法についてみてみましょう。企業価値評価のところでも取り上げた方法を、会計基準でも例示しています。

 

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設例を交えて、以下の方法について解説してみます。

 

①.マーケット・アプローチ

②.インカムアプローチ

③.コスト・アプローチ

 

ひとつずつみていきます!

 

①.マーケット・アプローチ

企業会計基準適用指針第31号「時価の算定に関する会計基準の適用指針」第5項

(1) マーケット・アプローチ

マーケット・アプローチとは、同一又は類似の資産又は負債に関する市場取引による価格等のインプットを用いる評価技法をいう。当該評価技法には、例えば、倍率法や主に債券の時価算定に用いられるマトリックス・プライシングが含まれる。

 

ここでは、倍率法(マルチプル)について取り上げましょう。

利用される財務指標は様々ありますが、ここではPERを用います。

 

まずはPERの定義を確認しておきます。

 

(定義)

PER = 株価 ÷ 1株あたり当期純利益

= 時価総額 ÷ 当期純利益

 

例)同業を営む上場会社A社の株価が3,000円、一株当たり利益が200円とします。一方、評価対象となる会社B社の1株あたり当期純利益は150円とします。

 

(計算)

A社のPERを計算します。

 

A社PER = 3,000円 ÷ 200円

= 15

 

次にB社の1株あたり当期純利益に上記の倍率(A社PER)を掛け合わせます。

そうすると、B社の株式の評価額を算定できます。

 

B社株式 = 150円 × 15

=2,250円

 

このように、計算は難しくありませんが、どのような企業を評価倍率の対象として選ぶかによって計算結果は左右されることになります。

 

(vol.138へ続く)