取得条項付の転換社債型新株予約権付社債の会計処理 vol.1
取得条項が付与されている転換社債型新株予約権付社債の会計処理について解説していきます。
まずは対象を明確にしましょう。
取得条項が付与されている転換社債型新株予約権付社債
転換社債型新株予約権付社債(以下、CB)の発行者が、特定の条件を理由として、当該CBを取得できる条項(取得条項)が付与されたCBを指します。
この時、自社の株式の市場価格が転換価格を上回る場合において、発行者が当該CBを取得するときの会計処理は次のとおりに整理できます。
(発行者側)
(ⅰ)取得対価:現金
発行時:一括法を採用
→自己社債の取得に準じて処理します*1。
発行時:区分法を採用
・新株予約権部分 → 自己新株予約権の処理に準じて処理します。
発行者が取得と同時に償却した場合、取得したCBの帳簿価額と対応するCBが消滅するため、繰上償還に準じて処理します。
(ⅱ)取得対価:自社株式
①以下の前提条件を満たす場合は、CBに付された新株予約権が行使された場合に準じて処理します。
(企業会計基準適用指針第17号 「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理」第19項を参照)
(前提条件)
企業会計基準適用指針第17号 「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理」第23項(2)
(ア)発行者が、当該取得条項に基づき、当該転換社債型新株予約権付社債に付された新株予約権の目的である自社の株式の数を交付することにより取得
(イ)当該取得条項に基づいて取得した際に消却することが募集事項等に示されており、かつ、当該募集事項等に基づき取得と同時に消却が行われた場合
②上記以外の場合
対価となる自社株式の時価とCBの時価のうち、、より高い信頼性をもって測定可能な時価に基づいて処理します。
(1)新株発行
資本金または資本金および資本準備金を増加させます。
(2)自己株式の処分
時価と自己株式の帳簿価額との差額を自己株式の処分差額として処理します。そして、自己株式を募集株式の発行等の手続により処分する場合に準じて処理します。
あとは、(ⅰ)の場合と同様に処理します。
(vol.2へ続く)