財務諸表のきほん

財務諸表(Financial Statements:F/S)は、会社の業績などを数字で表現したものです。日々の取引を記録した結果として、作成されるものです。F/Sについて理解すると、会計というものが、会社を、日々の取引をどのように表現するのか、理解が深まります。ここでは、F/Sの基本について押さえましょう。

 

1.貸借対照表(Balance Sheet:B/S)

 

会社の財政状態について表すのが。貸借対照表(B/S)です。

 

財政状態というムズカシイ言葉が意味するところは、

 

(1)会社がどうやってお金を調達したのか?

(2)調達したお金をどのように使っているのか?

 

ということです。

 

それをどうやって表現するのでしょうか?

皆さんもよく資産、負債、純資産という言葉で表します。

 

資産:お金をどうやって使っているのか?

負債:誰から借り入れているのか?

純資産:正味の元手はいくらあるのか?

 

これらのことを図解してみましょう。

 

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上の図において、右側(負債、純資産)はお金をどのように調達したのかを表します。一方、左側(資産)はお金をどのように使っているのかを表します。

 

調達した資金は返済義務のある負債か、株式により調達した純資産で分けます。そうやって集めたお金は会社の事業活動に活用されます。

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調達したお金と使っているお金は等しい関係にあります。

 

資産 = 負債 + 純資産

 

こちらが会計の1つ目の”公式”になります。


2.損益計算書(Profit and Loss Statement:P/L)

 

会社の経営成績を表したものが、損益計算書(P/L)です。

 

経営成績とは何でしょうか?

会社は集めた資金を事業活動に投下します。その結果を表すのがP/Lの役割です。つまり、いくら売り上げて(収益)、いくら経費がかかって(費用)、いくらの儲けがでたのか?(利益)、それを明らかにします。

 

収益:いくらの売り上げがあったのか?

費用:いくらの経費がかかったのか?

利益:儲けはいくらか?

 

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つまり、収益、費用、利益の関係を式で表すと、以下のようになります。

 

収益 − 費用 = 利益

 

これが会計の2つめの”公式”です。

 

3.B/SとP/Lの関係

 

B/SとP/Lについての説明は上記のとおりです。この2つは互いに独立した関係ではなく、相互に関連しています。

 

上で示した”公式”をもう一度、記載してみます。

 

資産 = 負債 + 純資産・・・①

収益 ー 費用 = 利益・・・②

 

ここで、純資産を分解してみます。純資産は、株主が出資した資本金と利益の累積である利益剰余金からなります。

 

純資産 = 資本金 + 利益剰余金

 

①の式にこちらの式を代入します。

 

資産 = 負債 + 資本金 + 利益剰余金・・・③

 

利益剰余金は利益の累積なので、②を③の利益剰余金に代入します。

 

 

資産 = 負債 + 資本金 + 収益 ー 費用

 

⇆ 資産 + 費用 = 負債 + 収益 + 資本金・・・④

 

(簿記において、④の式のうち、左辺を借方、右辺を貸方といったりします。)

 

以上の考え方を整理します。

 

会社は調達したお金を使って事業を行います。その結果が売上であり、経費であり、利益です(P/L)。利益は利益剰余金としてB/Sに計上されます。そして、翌期に繰り越されることになります。

 

このようにB/SとP/Lは相互に関連したものであり、一時点の状態(B/S)と一定期間の成績(P/L)を表すことになります。