かいけいがく vol.140 - 関連当事者 Part.2 -

関連当事者との取引の内、開示対象となるのは重要な取引です。

では、どのような取引が重要性があると認められるのでしょうか?

 

まずは、企業会計基準第 11 号「関連当事者の開示に関する会計基準 」第5項(3)に列挙されている関連当事者に該当する者を、次の通りに4つのグループに分けます。

以下の①、②は企業会計基準第 11 号「関連当事者の開示に関する会計基準 」第5項(3)の項目番号を記載しています。

 

当該グループ分けに基づいて開示を要する事項については、グループ順に並べて開示します。

 

(1) 親会社及び法人主要株主等(財務諸表作成会社の上位に位置する法人のグループ)

→①、④、⑥

 

(2) 関連会社等(財務諸表作成会社の下位に位置する法人のグループ) 

→②、⑤、⑪

 

(3) 兄弟会社等(財務諸表作成会社の上位に位置する法人の子会社のグループ) 

→③、④、⑩

 

(4) 役員及び個人主要株主等(財務諸表作成会社の役員・個人主要株主等のグループ)

→⑥、⑦、⑧、⑨、⑩

 

上記のうち、(1)〜(3)は法人グループ、(4)は個人グループの分類です。法人グループ、個人グループ別に重要性の判定を行います。

 

企業会計基準第 11 号「関連当事者の開示に関する会計基準 」第14項

・・・この判断に際しては、原則として各関連当事者との取引(類似・反復取引についてはその合計)ごとに行う。・・・

 

1.法人グループ

まずは、法人グループの重要性の判定基準についてです。

 

企業会計基準第 11 号「関連当事者の開示に関する会計基準 」第15項

(1) 連結損益計算書項目に属する科目に係る関連当事者との取引

① 売上高、売上原価、販売費及び一般管理費

売上高又は売上原価と販売費及び一般管理費の合計額の 10%を超える取引

営業外収益、営業外費用

営業外収益又は営業外費用の合計額の 10%を超える損益に係る取引(その取引総額を開示し、取引総額と損益が相違する場合には損益を併せて開示する。)

③ 特別利益、特別損失

1,000 万円を超える損益に係る取引(その取引総額を開示し、取引総額と損益が相違する場合には損益を併せて開示する。) 

(2) 連結貸借対照表項目に属する科目の残高及びその注記事項に係る関連当事者との取引並びに債務保証等及び担保提供又は受入れ

① その金額が総資産の 1%を超える取引

② 資金貸借取引、有形固定資産や有価証券の購入・売却取引等については、それぞれの残高が総資産の 1%以下であっても、取引の発生総額(資金貸付額等)が総資産の 1%を超える取引(ただし、取引が反復的に行われている場合や、その発生総額の把握が困難である場合には、期中の平均残高が総資産の 1%を超える取引を開示することもできる。)

③ 事業の譲受又は譲渡の場合には、譲受又は譲渡の対象となる資産や負債が個々に取引されるのではなく、一体として取引されると考えられることから、対象となる資産又は負債の総額のいずれか大きい額が、総資産の 1%を超える取引 

 

ただし、上記の内、(1)②、③に該当する取引がある場合でも、開示を要しない場合があります。

 

企業会計基準第 11 号「関連当事者の開示に関する会計基準 」第15項

その取引総額が、税金等調整前当期純損益又は最近 5 年間の平均の税金等調整前当期純損益(当該期間中に税金等調整前当期純利益と税金等調整前当期純損失がある場合には、原則として税金等調整前当期純利益が発生した年度の平均とする。)の 10%以下となる場合には、開示を要しないものとする。 

 

2.個人グループ

 

関連当事者が個人グループに属する場合、P/L、B/S等、いずれに関する取引についても、1,000万円を超える取引については、原則としてすべて開示対象となります。

 

(vol.141へ続く)