公共施設等運営事業の運営権者の会計処理 - vol.2 -

次に更新投資(運営権者が行う公共施設等の維持管理)に関する会計処理についてみていきましょう。

 

(1)更新投資実施時

・資本的支出に該当する部分→資産計上・・・(A)

 

ただし、次の要件を満たした場合、支出見込総額の現在価値を負債に計上すると同時に、同額を資産として計上します。・・・(B)

 

要件①.運営権者が公共施設等運営権を取得した時において、大半の更新投資の実施時期及び対象となる公共施設等の具体的な設備の内容が、管理者等から運営権者に対して実施契約等で提示

 

要件②.更新投資のうち資本的支出に該当する部分に関して、運営権設定期間にわたって支出すると見込まれる額の総額及び支出時期を合理的に見積ることができる場合

 

(留意事項)

・割引率に関しては、運営権対価の支出総額の現在価値を算定する際に用いたものと同様の割引率を利用

・重要な見積もりの変更は資産・負債に加減

・資本的支出相当について、支出見込額と現在価値の差額については運営権設定期間にわたり利息法により配分

 

(2)減価償却

(A)の場合

企業会計基準委員会実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」第15項(1)

・・・更新投資に係る資産の経済的耐用年数(当該更新投資に係る資産の経済的耐用年数が公共施設等運営権の残存する運営権設定期間を上回る場合は、当該残存する運営権設定期間)にわたり、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価から残存価額を控除した額を各事業年度に配分する。

 

(B)の場合

企業会計基準委員会実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」第15項(2)

・・・運営権設定期間を耐用年数として、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価から残存価額を控除した額を各事業年度に配分する。

 

(参考)

企業会計基準委員会実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」