グループ法人税制 - vol.1 -
完全支配関係がある法人の間で資産の譲渡などが行われた場合は課税を繰り延べて、譲り受けた法人において譲渡や売却が行われた時に当該金額を取り戻すという制度がグループ法人税制です。
1.概要
まずはルールを確認しましょう。
法人税法 第63条
内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)がその有する譲渡損益調整資産(固定資産、土地(土地の上に存する権利を含み、固定資産に該当するものを除く。)、有価証券、金銭債権及び繰延資産で政令で定めるもの以外のものをいう。以下この条において同じ。)を他の内国法人(当該内国法人との間に完全支配関係がある普通法人又は協同組合等に限る。)に譲渡した場合には、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額・・・又は譲渡損失額・・・に相当する金額は、その譲渡した事業年度・・・の所得の金額の計算上、損金の額又は益金の額に算入する。
これだけだとわかりづらいので、数値例を用いて確認します。
例)完全支配関係があるX社とY社があったとします。X社は保有している土地(帳簿価額:5,000万円)をY社に7,000万円で譲渡しました。その後、Y社は当該土地を完全支配関係のない外部のZ社に8,000万円で譲渡したとします。
(解説)
1.X社→Y社
譲渡利益 = 7,000万円 - 5,000万円 = 2,000万円
この2,000万円は所得の計算上、損金の額に算入します(課税の繰り延べ)。
2.Y社→Z社
Y社がZ社に土地を譲渡した段階で譲渡利益2,000万円は益金に算入します。
2.対象資産
資産の譲渡に関する課税の繰り延べの対象となる譲渡損益調整資産は次のとおりです。なお、譲渡直前の帳簿価額が1,000万円未満のものは除きます。
(譲渡損益調整資産)
・固定資産
・土地(土地の上に存する権利を含み、固定資産に該当するものを除く。)
・有価証券(売買目的有価証券を除きます。)
・金銭債権
・繰延資産
3.受取配当等の益金不算入
完全支配関係がある内国法人の株式に関する配当については、全額益金不算入とされます。
(参考)
(vol.2へ続く)