資本連結 - vol.4 -
6.子会社株式の一部売却
子会社株式の一部を売却した際の連結上の会計処理について考えてみます。
先にルールの確認をしておきます。
企業会計基準第 22 号「連結財務諸表に関する会計基準」 第29項
29. 子会社株式を一部売却した場合(親会社と子会社の支配関係が継続している場合に限る。)には、売却した株式に対応する持分を親会社の持分から減額し、非支配株主持分を増額する。売却による親会社の持分の減少額(以下「売却持分」という。)と売却価額との間に生じた差額は、資本剰余金とする。
なお、子会社株式の売却等により被投資会社が子会社及び関連会社に該当しなくなった場合には、連結財務諸表上、残存する当該被投資会社に対する投資は、個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価する。
こちらも設例で確認します。
例)P社はA社の株式60%をx1年4月1日に66,000で取得した。支配獲得時点のA社のB/Sは以下のとおりである。支配獲得時点における土地の評価額は6,000である。それ以外の資産については簿価と時価に差異はないものとする。また、税効果は考慮外とする。のれんの償却期間は5年とする。P社、A社ともに決算月は3月とする。x2年3月期のA社の当期純利益は5,000である。
x2年4月1日にA社株式10%を15,000で一部売却した。x2年4月1日時点のA社のB/Sは次の通りである。
(仕訳)
x1年4月1日
・A社修正仕訳
土地 1,000 / 評価差額 1,000
・連結修正仕訳
資本 100,000 / A社株式 66,000
評価差額 1,000 非支配株主持分 40,400*1
のれん 5,400
*1 (100,000+1000)× 40% = 40,400
のれん償却 1,080 / のれん 1,080*2
*2 5,400 ÷ 5 = 1,080
非支配株主損益 2,000 / 非支配株主持分 2,000*3
*3 5,000 × 40% = 2,000
x2年4月1日
・一部売却
(P社・個別上の処理)
現預金 15,000 / A社株式 11,000*4
A社株式売却益 4,000
*4 66,000 × 10% ÷ 60% = 11,000
(P社・連結上の処理)
A社株式 11,000 / 非支配株主持分 10,600*5
A社株式売却益 4,000 資本剰余金 4,400*6
*5 (100,000+5,000+1,000)× 10% = 10,600
*6 A社株式の売却額15,000 - P社持分減少額10,600 = 4,400
(vol.5へ続く)