資本連結 - vol.6 -

前回までは資本連結の基本について解説してきました。ここからは、いくつかのパターンごとに資本連結の処理はどのように行うのかについて解説していきます。

(以下、かっこ内の割合は持分割合を指します。)

 

1.その他投資先(10%)→新規連結(60%)

P社はx1年4月1日にA社株式10%を10,000で取得して、原価法の適用会社とした。その後、x2年4月1日にP社はA社株式50%を60,000で取得して、A社を連結子会社とした。x2年4月1日におけるA社のB/Sは次のとおりである。

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x2年4月1日時点のA社が保有する土地の評価額は6,000、その他の資産・負債については、時価と簿価の差額はないものとする。P社、A社ともに決算月は3月とする。また、税効果は考慮外とする。

 

(仕訳)

・A社修正仕訳

土地 1,000 / 評価差額 1,000*1

*1 6,000 - 5,000 = 1,000

 

・段階取得に関する処理

取得が複数の取引により達成された場合(段階取得)の処理について、まずはルールを確認しましょう。

 

企業会計基準第 21 号「企業結合に関する会計基準」第25項 

25. 取得が複数の取引により達成された場合(以下「段階取得」という。)における被取得企業の取得原価の算定は、次のように行う。

(1) 個別財務諸表上、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって、被取得企業の取得原価とする。

(2) 連結財務諸表上、支配を獲得するに至った個々の取引すべての企業結合日における時価をもって、被取得企業の取得原価を算定する。なお、当該被取得企業の取得原価と、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額(持分法適用関連会社と企業結合した場合には、持分法による評価額)との差額は、当期の段階取得に係る損益として処理する。 

 

個別上の取得原価はここの取引毎の金額を合計することになるので、次のとおりです。

(個別)10,000+60,000=70,000

 

一方、連結上は、企業結合日の時価が取得原価になります。

(連結)60,000÷50%×60%=72,000

 

この際、取得原価とここの取引ごとの合計額との差額は段階取得に係る損益として処理します。

 

A社株式 2,000 / 段階取得に係る損益 2,000*2

*2 x1年4月1日に取得した持分10%分の時価 = 60,000÷50%×10% = 12,000

段階取得に係る損益 = 12,000 - 10,000 = 2,000

 

・投資と資本の相殺

資本金   100,000 / A社株式     72,000

利益剰余金  5,000   非支配株主持分 42,400*3

評価差額   1,000

のれん    8,400*4

*3 (100,000+5,000+1,000)×40% = 42,400

*4 貸借差額

 

(vol.7へ続く)