信託に関する税務 - vol.4 -

受益者等課税信託についての基本的な考え方を整理したところで、その他の論点について、いくつか取り上げていきます。

 

・受益権の譲渡

法人税基本通達 14-4-6 

受益者等課税信託の受益者等がその有する権利の譲渡又は取得が行われた場合には、その権利の目的となっている信託財産に属する資産及び負債が譲渡又は取得されたこととなることに留意する。

例えば、信託財産に帰属する資産が土地の場合、受益者が保有する権利を譲渡した場合、その土地を譲渡したものとして各税法のルールを適用します。

 

・信託の損失に関する取り扱い

租税特別措置法 第67条の12 第1項 

法人が・・・特定受益者・・・に該当する場合で、かつ、・・・当該信託につきその債務を弁済する責任の限度が実質的に・・・信託財産の価額とされている場合その他の政令で定める場合には、当該法人の当該事業年度の組合等損失額(・・・当該信託による損失の額として政令で定める金額をいう。以下この項において同じ。)のうち当該法人の・・・当該信託の信託財産の帳簿価額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額・・・は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

法人が受益者で、信託に関する債務の弁済責任が信託財産の価額とされている場合、信託にかかる損失のうち、信託財産の帳簿価額を超える部分は損金に算入できません。損金に算入されなかった金額は翌期以降に繰り越されて、利益の金額を限度として損金に算入できます。

 

租税特別措置法 第67条の12 第2項 

確定申告書等を提出する法人が、各事業年度において組合等損失超過合計額を有する場合には、当該組合等損失超過合計額のうち当該事業年度の当該法人の・・・信託(当該組合等損失超過合計額に係るものに限る。)による利益の額として政令で定める金額に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

 

(vol.5へ続く)