税務上の非上場株式の評価 - vol.3 -
ここで、取引相場のない株式の原則的な評価方法を整理します。
財産評価基本通達178に則り、株式の発行会社の区分に応じて次のように評価します。
■大会社
・類似業種比準方式
・純資産価額方式
■中会社
・次の算式により評価
(計算式)
類似業種比準価額*1×L+1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)×(1-L)
*1 1株当たりの純資産価額により計算することも可能
算式中の「L」は財産評価基本通達に定められている数字のうち、該当するものを参照する。
■小会社
・純資産価額方式
・次の算式により評価
(計算式)
類似業種比準価額*1×0.5+1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)×0.5
*1 1株当たりの純資産価額により計算することも可能
ただし、次の場合は別途、評価を行います。
(A)同族株主以外の株主等が取得した株式
(B)特定の評価会社の株式
順番にみていきます。
(A)同族株主以外の株主等が取得した株式
まずは同族株主について定義を確認します。
財産評価基本通達 188
・・・「同族株主」とは、課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者(法人税法施行令第4条*1に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。以下同じ。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上(その評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう。・・・
同族株主は株主の1人及び同族関係者の有する議決権割合が30%以上の場合の当該株主と同族関係者をいいます。議決権を50%超を有するグループがいる場合、そのグループは同族株主となります。
また、中心的な同族株主という言葉も押さえておきましょう。
財産評価基本通達 188
・・・「中心的な同族株主」とは、課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち、これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である会社を含む。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合におけるその株主をいう。・・・
同族株主の1人と配偶者などの議決権が25%以上の株主を中心的な同族株主といいます。
最後に中心的な株主という言葉も整理します。
財産評価基本通達 188
・・・「中心的な株主」とは、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である株主グループのうち、いずれかのグループに単独でその会社の議決権総数の10%以上の議決権を有している株主がいる場合におけるその株主をいう。・・・
*1:同族関係者の範囲