組織再編税制 vol.1 - 合併 Part.1 -

今回から何回かに分けて組織再編税制について整理したいと思います。複雑な税制ですが、できる限りわかりやすく説明させて頂きます。

 

まずは、合併の場合です。

言葉の定義から入りましょう。会社法上、合併については吸収合併と新設合併が規定されています。(なお、今回は吸収合併を取り上げます。)

会社法 第2条

二十七 吸収合併 会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう。
二十八 新設合併 二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう。

 

法人税法 第2条

十一 被合併法人 合併によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。
十二 合併法人 合併により被合併法人から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。

 

税務上、合併については2つに分類できます。

適格合併:税制適格要件を満たす合併

非適格合併:税制適格要件を満たさない合併

 

税制適格要件は次の3つに整理されます。

・完全支配関係がある場合

・支配関係がある場合

・共同支配事業を行う場合

(具体的な要件は次回以降に整理します。)

 

ここでは適格合併について取り上げます。

税制適格要件を満たした合併は適格合併として、被合併法人の資産、負債、資本金等、利益積立金の金額を税務上の帳簿価額で合併法人に引き継がれることになります。

また、合併法人が有する被合併法人の株式(抱き合わせ株式)については、税務上の帳簿価額を資本金等から差し引くことになります。

 

(仕訳イメージ)

合併法人

資産 ×× / 負債 ××

        資本金等 ××

        利益積立金 ××

 

資本金等 ×× / 被合併法人株式 ××

 

また、被合併法人の株主においては、有していた被合併法人株式の税務上の帳簿価額がそのまま合併法人株式の税務上の帳簿価額となるので課税関係は生じません。

 

被合併法人の株主

合併法人株式 ×× / 被合併法人株式 ××