かいけいがく vol.15 - 有価証券 Part.2 -
(vol.14から続く)
次に満期保有目的の債券の処理についてみてみましょう。
(定義)
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則 第17項21
この規則において「満期保有目的の債券」とは、満期まで所有する意図をもつて保有する社債券その他の債券(満期まで所有する意図をもつて取得したものに限る。)をいう。
(会計処理)
満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券(以下「満期保有目的の債券」という。)は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。
ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法(注 5)に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。
(注5) 償却原価法について
償却原価法とは、金融資産又は金融負債を債権額又は債務額と異なる金額で計上した場合において、当該差額に相当する金額を弁済期又は償還期に至るまで毎期一定の方法で取得価額に加減する方法をいう。なお、この場合、当該加減額を受取利息又は支払利息に含めて処理する。
(仕訳)
例)2019/4/1に4,700でJ社社債を満期まで所有する意図をもって取得した。なお、取得価額と債券金額(額面)との差額(取得差額)は、全て金利の調整部分(金利調整差額)である。
(1) 額 面:5,000
(2) 満 期:2022年3月31日
(3) クーポン利子率:年利6%
(4) 利払日:毎年9月末日及び3月末日 年2回
※償却原価法の調整方法としては、利息法(原則法)と定額法(簡便法)がありますが、説明を簡単にするため、定額法(簡便法)による場合を想定します。
2019/4/1(取得日)
満期保有目的の債券 4,700 / 現金 4,700
2019/9/30(利払日)
現金*1 150 / 有価証券利息 150
満期保有目的の債券*2 50 / 有価証券利息 50
*1 クーポンの受取額
5,000 × 6% × 1/2 = 150
*2 償却原価法による調整額
(5,000 - 4,700) × 6ヶ月/36ヶ月 = 50
・・・
2022/3/31(償還日)
現金 5,000 / 満期保有目的の債券 5,000
なお、満期保有目的の債券は満期日まで保有する意思があり取得するものであり、もしも保有目的が変更された場合には変更後の目的区分に基づいて処理する必要があります。
なお、このような考え方を採用するにあたっては、満期時まで保有する目的であることを債券の取得時及び取得時以降に確認し得ることが必要であり、保有目的が変更された場合には、当該変更後の保有目的に係る評価基準により債券の帳簿価額を修正することが必要である。
(vol.16に続く)