2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

組織再編税制 vol.8 - 繰越欠損金 Part.2 -

次にみなし共同事業の要件について、各々解説します。 もう一度、みなし共同事業の要件を列挙します。 (1)事業の関連性があること (2)事業の規模の割合が一定割合以下であること (3)一定の事業規模が継続していること (4)特定役員の引き継ぎ要件…

エンジェル税制 - vol.1 -

エンジェル税制はベンチャー企業への投資促進の観点から所得税法上、個人投資家が受けられる税制上の優遇措置を指します。 投資対象となる会社は特定中小会社と特定新規中小会社(以下、特定中小会社等)に該当する会社です。 税制上の優遇措置としては、次…

組織再編税制 vol.7 - 繰越欠損金 Part.1 -

次に適格合併が行われた場合の繰越欠損金の取り扱いについて整理します。 法人税法上、次のように規定されます。 法人税法 第57条 2 前項の内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合・・・当該適格合併に係る被合併法人・・・(以下この項において「…

組織再編税制 vol.6 - 合併 Part.6 -

ここで各パターンの税制適格要件を整理します。 1.完全支配関係がある場合 (要件) (1)金銭その他の資産の不交付 (2)完全支配関係の継続 2.支配関係がある場合 (要件) (1)金銭その他の資産の不交付 (2)従業者が引き続き業務に従事 (3)…

組織再編税制 vol.5 - 合併 Part.5 -

「3.共同で事業を行う場合」の税制適格要件の続きです。 (5)事業の規模が一定規模を超えないこと or 特定の役員が事業に従事 (5)- 1.事業規模要件 法人税法施工令 第4条の3 ・・・ 二 合併に係る被合併法人の被合併事業と当該合併に係る合併法人…

組織再編税制 vol.4 - 合併 Part.4 -

3.共同で事業を行う場合 (1)金銭その他の資産の不交付 こちらは1.(1)、2.(1)と同様です。 (2)従業者が引き続き業務に従事 こちらも2.(2)と同様です。 (3)事業が継続して行われること こちらも2.(3)と同様です。 (4)合併事…

組織再編税制 vol.3 - 合併 Part.3 -

税制適格要件についての続きです。 2.支配関係がある場合 (1)金銭その他の資産の不交付 こちらは1.(1)と同様です。 (2)従業者が引き続き業務に従事 法人税法 第2条 12の8 ロ ・・・ (1) 当該合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者…

組織再編税制 vol.2 - 合併 Part.2 -

次に税制適格要件について整理します。 各パターンに分けて説明します。 1.完全支配関係がある場合 (1)金銭その他の資産の不交付 原則として、合併の対価として金銭その他の資産を交付してはいけません。 ただし、次の場合は除きます。 法人税法 第2条…

組織再編税制 vol.1 - 合併 Part.1 -

今回から何回かに分けて組織再編税制について整理したいと思います。複雑な税制ですが、できる限りわかりやすく説明させて頂きます。 まずは、合併の場合です。 言葉の定義から入りましょう。会社法上、合併については吸収合併と新設合併が規定されています…

相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例

相続又は遺贈により、土地や建物、株式等を取得して、その後、一定の期間内に譲渡した場合、譲渡所得の計算上、取得費を加算する特例が設けられています。 当該特例を適用するためには、いくつかの条件があります。 (1)相続又は遺贈により財産を取得した…

完全支配関係がある会社間の自己株式の税務処理

完全支配関係がある会社間で自己株式を取得する場合(例えば、子会社が親会社が保有する子会社株式を取得する場合)の税務上の取り扱いについて整理します。 法人税法第24条に規定されるみなし配当事由に該当する完全支配関係がある法人から金銭その他の資産…

配偶者居住権の相続税法上の評価 - vol.1 -

配偶者居住権については相続税法上、次のとおり評価します。 (計算式) 評価額(配偶者居住権) = A − A × (B − C − D) ÷ (B − C) × E = A × {1 − (B − C − D) ÷ (B − C) × E} A:居住建物の相続税評価額 B:耐用年数 C:経過年数 D:存続年数…

財産評価 - vol.9 -

13.無道路地 財産評価基本通達20-3 (注) 1 無道路地とは、道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む。)をいう。 無道路地の評価は、実際に利用している路線価に基づき不整形地の評価または地積規模の大きな宅地の評価により計算した価額…

財産評価 - vol.8 -

11.角地 財産評価基本通達 16 正面と側方に路線がある宅地(以下「角地」という。)の価額は、次の(1)及び(2)に掲げる価額の合計額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する (1) 正面路線(原則として、前項の定めにより計算した1平方メート…

農地を売却した時の税務上の取り扱い

(1)特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除 個人の有する土地又は土地の上に存する権利が特定土地区画整理事業等のために買い取られる場合に該当することとなつた場合には、長期及び短期譲渡所得の計算上、2,000万円の…

財産評価 - vol.7 -

10.地積規模の大きな宅地 地積規模の大きな宅地とは以下の要件に該当する宅地です。 ・三大都市圏においては500平方メートル以上の地積の宅地 ・三大都市圏以外の地域においては1,000平方メートル以上の地積の宅地 ただし、以下の宅地は除きます。 財産評価…

不動産の証券化 vol.3 - 証券化の仕組み -

(vol.2から続く) 次に不動産の流動化における2つの類型を確認します。 1.資産流動化型スキーム 流動化の対象となる資産を所有している者(オリジネーター)が、ヴィークルに対象資産を移して、その資産の収益を原資として資金調達を行うタイプのスキー…

不動産の証券化 vol.2 - 証券化の仕組み -

(vol.1から続く) 不動産の証券化の概要をみたところで、次にどのように証券化するのか、基本的な仕組みについてみていきます。 その前に、証券化にあたってSPVやSPC、SPEやTMKといった略語が登場するので、こちらを整理しておきましょう。 証券化にあたっ…

税務上の非上場株式の評価 - vol.4 -

「同族株主以外の株主等が取得した株式」の評価については、次の条件に該当する場合、配当還元方式により行います。 財産評価基本通達 188 (1) 同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主の取得した株式 ・・・ (2) 中心的な同族株主のいる会…

税務上の非上場株式の評価 - vol.3 -

ここで、取引相場のない株式の原則的な評価方法を整理します。 財産評価基本通達178に則り、株式の発行会社の区分に応じて次のように評価します。 ■大会社 ・類似業種比準方式 ・純資産価額方式 ■中会社 ・次の算式により評価 (計算式) 類似業種比準価額*…

税務上の非上場株式の評価 - vol.2 -

所得税基本通達59−6をもう一度、参照します。 所得税基本通達 59−6 ・・・この場合、23~35共-9の(4)ニに定める「1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」については、原則として、次によることを条件に、・・・「財産評…