かいけいがく vol.20 - 棚卸資産 Part.2 -

(vol.19から続く)

 

次は棚卸資産の評価方法についてみていきます。

 

企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準

 

6-2.・・・次の評価方法の中から選択した方法を適用して売上原価等の払出原価と期末棚卸資産の価額を算定するものとする。


(1) 個別法
取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、その個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法
個別法は、個別性が強い棚卸資産の評価に適した方法である。

(2) 先入先出法
最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法

(3) 平均原価法
取得した棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法
なお、平均原価は、総平均法又は移動平均法によって算出する。

(4) 売価還元法
値入率等の類似性に基づく棚卸資産のグループごとの期末の売価合計額に、原価率を乗じて求めた金額を期末棚卸資産の価額とする方法
売価還元法は、取扱品種の極めて多い小売業等の業種における棚卸資産の評価に適用される。


6-3. 棚卸資産の評価方法は、事業の種類、棚卸資産の種類、その性質及びその使用方法等を考慮した区分ごとに選択し、継続して適用しなければならない。  

 

1つずつみていきましょう。

 

以下のような商品の受け払いがあったとします。

 

個別法

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実際の取得価額に基づいて在庫を評価するので、期末時点での評価額は次のとおりです。

 

期末在庫評価額:3,000(商品C) + 4,000(商品D) = 7,000

 

先入先出法

 

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先に仕入れたものから払い出されると考えるので、期末評価額は次のとおりです。

 

期末在庫評価額:2,000*1 + 9,000*2 + 8,000*3 = 19,000

 

*1 商品B:@200 × 10 = 2,000

*2 商品C:@300 × 30 = 9,000

*3 商品D:@400 × 20 = 8,000

 

平均原価法

 

平均原価法は移動平均法と総平均法がありますが、ここでは総平均法について説明します。

 

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1会計期間の仕入金額の平均に基づいて期末在庫を評価します。

 

期末在庫評価額:60 × @214.3*1 = 12,858

 

*1 (@100×50+@200×40+@300×30+@400×20)÷(50+40+30+20)= @214.3

 

売価還元法

 

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始値入額は最初に仕入原価に対して上乗せした利益分を指します。

 

上記の例で原価率を計算すると、以下のようになります。

 

原価率:700 / 1,000 = 0.7

 

次に期末在庫(売価)を求めます。

 

期末在庫(売価) = 1,000(上記の表の売価欄合計) - 760(当期売上) = 240

 

期末在庫(売価)に原価率をかけます。

 

240 × 0.7 = 168

 

以上となります。

 

このように、評価方法はいくつもありそれぞれにメリットとデメリットがありますので、会社ごとの状況をみてどれが最も適切な方法かを判断することになります。

 

(vol.21へ続く)