信託に関する税務 - vol.6 -

法人課税信託に該当する信託については法人税法上、次の項目が列挙されています。

法人税法 第2条29の2

法人課税信託 次に掲げる信託(集団投資信託並びに第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託及び同項第二号に規定する特定公益信託等を除く。)をいう。

イ 受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託

ロ 第十二条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)が存しない信託

ハ 法人(公共法人及び公益法人等を除く。)が委託者となる信託(信託財産に属する資産のみを信託するものを除く。)で、次に掲げる要件のいずれかに該当するもの

(1) 当該法人の事業の全部又は重要な一部(その譲渡につき当該法人の会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百六十七条第一項(第一号又は第二号に係る部分に限る。)(事業譲渡等の承認等)の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)を要するものに限る。)を信託し、かつ、その信託の効力が生じた時において、当該法人の株主等が取得する受益権のその信託に係る全ての受益権に対する割合が百分の五十を超えるものとして政令で定めるものに該当することが見込まれていたこと(その信託財産に属する金銭以外の資産の種類がおおむね同一である場合として政令で定める場合を除く。)。

(2) その信託の効力が生じた時又はその存続期間(その信託行為において定められた存続期間をいう。(2)において同じ。)の定めの変更の効力が生じた時((2)において「効力発生時等」という。)において当該法人又は当該法人との間に政令で定める特殊の関係のある者((2)及び(3)において「特殊関係者」という。)が受託者であり、かつ、当該効力発生時等において当該効力発生時等以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたこと(当該法人又は当該法人の特殊関係者のいずれもがその受託者でなかつた場合において当該法人又は当該法人の特殊関係者がその受託者に就任することとなり、かつ、その就任の時においてその時以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたときを含むものとし、その信託財産の性質上その信託財産の管理又は処分に長期間を要する場合として政令で定める場合を除く。)。

(3) その信託の効力が生じた時において当該法人又は当該法人の特殊関係者をその受託者と、当該法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、その時において当該特殊関係者に対する収益の分配の割合の変更が可能である場合として政令で定める場合に該当したこと。

ニ 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託

 

順番にみていきます。

イ.受益証券発行信託

受益権が細分化された単位からなり、受益権が流通して受益者が流動的であることから、受託者に対する課税が行われます。

 

ロ.受益者が存しない信託

受益者が存しない信託は信託財産に帰属する資産・負債を有するものとみなす方がいませんが、信託から所得は発生します。こちらに課税しないことは適切な課税とはみなさないということで、受託者に対して課税されることになります。

 

ハ.法人が委託者となる信託で、一定の要件に該当するもの

(1)事業の全部又は重要な一部を信託する場合で一定の要件に該当するもの

事業の全部又は重要な一部を信託して、かつ、株主等が取得する受益権割合が50%を超える場合、法人課税信託となります。ちなみに、信託財産に属する金銭以外の資産の種類がおおむね同一である場合は対象外です。

 

(vol.7へ続く)