市場価格のない株式等の減損処理
市場価格のない株式については、取得価額によりB/Sに計上するとしています。
企業会計基準第 10 号「金融商品に関する会計基準」 第19項
市場価格のない株式は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。・・・
出資金等、株式と同様の持分請求権を生じるものは上記と同様に処理します。
市場価格のない株式等については、実質価額の著しい下落があった場合は相当の減額が必要です。
企業会計基準第 10 号「金融商品に関する会計基準」 第21項
市場価格のない株式等については、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をなし、評価差額は当期の損失として処理しなければならない。
仕訳イメージ
・取得時
投資有価証券 ×× / 現預金 ××
・評価減
投資有価証券評価損 ×× / 投資有価証券 ××
日本公認会計士協会から公表されている会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」によると、「著しい低下」とは株式等の実質価額が取得価額に対して、50%程度以上低下した場合を指します。
(実質価額の回収可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合は相当の減額をしないことが出来ます。)
なお、財政状態に重要な影響を及ぼす事項が判明していれば、当該事項も加味します。会社の超過収益力や経営権等を反映した金額が実質価額として評価される場合もあるとしています。
電子記録債権の会計処理
電子記録債権の会計処理については、企業会計基準委員会から実務対応報告第 27 号「
電子記録債権に係る会計処理及び表示についての実務上の取扱い」が公表されています。本稿では当該実務対応報告の内容に沿って、解説したいと思います。
まずは電子記録債権の定義について確認しましょう。
電子記録債権法 第2条 第1項
この法律において「電子記録債権」とは、その発生又は譲渡についてこの法律の規定による電子記録(以下単に「電子記録」という。)を要件とする金銭債権をいう。
電子記録債権法で定義される電子記録債権は、会計上の定義としてもそのまま採用されます。
第十五条 次に掲げる資産は、流動資産に属するものとする。
・・・
二の二 通常の取引に基づいて発生した電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。・・・)
電子記録債権は手形債権に準じて、通常の債権とは区分して、「電子記録債権」等の勘定科目で表示します。
電子記録債権を譲渡した際に保証記録を行っている場合、財務諸表にその旨、注記します。
(会計処理)
例1)商品1,000を掛売上して、発生記録により電子記録債権を計上、その後、決済
仕訳
売掛金 1,000 / 売上 1,000
現預金 1,000 / 電子記録債権 1,000
例2)商品2,000を掛仕入して、発生記録により電子記録債務を計上、その後、決済
仕訳
仕入 2,000 / 買掛金 2,000
買掛金 2,000 / 電子記録債務 2,000
電子記録債務 2,000 / 現預金 2,000
例3)貸付金3,000を貸付、その後、決済(利息の処理は考慮外とする)
仕訳
貸付金 3,000 / 現預金 3,000
(発生記録により電子記録債権が発生した時)
仕訳なし*1
現預金 3,000 / 貸付金 3,000
*1 下記参照
実務対応報告第 27 号「電子記録債権に係る会計処理及び表示についての実務上の取扱い」脚注2
貸付金や借入金等については、現行の企業会計上、証書貸付や手形貸付等に区分掲記せずに「貸付金」「借入金」等として表示していることから、それらに関連して電子記録債権が発生しても手形債権に準じて取り扱うため、科目は振り替えないことになる。また、手形債権が指名債権とは別に区分掲記される取引であっても、重要性が乏しい場合には、電子記録債権を区分掲記ではなく手形債権に含めて表示することができる。
例4)営業取引外で電子記録債権を発生させた場合
ここでは固定資産を5,000で売却して電子記録債権を発生させて、その後、決済
仕訳
未収入金 5,000 / 固定資産 5,000
営業外電子記録債権 5,000 / 未収入金 5,000
現預金 5,000 / 営業外電子記録債権 5,000
個人事業→法人設立の手続きのまとめ - vol.3 -
4.都道府県税事務所に対する提出事項
「事業開始(廃止)等申告書」を各都道府県税事務所に提出する必要があります。
5.資産・負債の移転
個人の方と会社との間で事業譲渡の契約を締結して、個人事業に関する資産・負債を新たに設立される会社に移転します。
上記の通り、法人の設立には様々な手続きが必要です。
とても煩雑ですが、「法人設立ワンストップサービス」というサービスを利用すれば、各提出書類を一括して提出することも出来ます。
法人設立ワンストップサービスの対象が全ての手続に拡大されました|国税庁
(参考)
個人事業→法人設立の手続きのまとめ - vol.2 -
(注) 記載事項は手続きの概要となります。実際の手続きに当たっては各種行政機関や専門家等にご相談されることを強く推奨致します。
2.税務署への提出事項
(必須)
・法人設立届出書
提出先:納税地の所轄税務署長
提出期限:設立の日以後、2ヶ月以内
※ 「定款、寄付行為、規則または規約等の写し」を添付
・給与支払事務所等の開設届出書(給与等を支払う場合)
提出先:給与支払事務所等を所轄する税務署長
提出期限:給与支払事務所等を開設してから1か月以内
・消費税の新設法人に該当する旨の届出書(課税事業者に該当する場合)
提出先:納税地の所轄税務署長
提出期限:事由が発生した後、速やかに提出する
※ 法人設立届出書に消費税の新設法人に該当する旨及び所定の記載事項を記載して提出した場合には、この届出書の提出は不要
(任意)
・青色申告の承認申請書
提出先:納税地の所轄税務署長
提出期限:設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日
その他、必要に応じて書類を提出します。
個人事業を法人化する際には、「個人事業の開業・廃業等届出書」を事業の廃止から1月以内に、納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。
3.年金事務所への提出事項
給与等を支払う場合、次の書類の提出が必要です。
・健康保険・厚生年金保険 新規適用届
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
・健康保険被扶養者(異動)届*1
*1 家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき
提出先:事業所の所在地を管轄する年金事務所
上記書類に各種添付書類が必要です。
(参考)
・日本年金機構HP
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150311.html
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20150422.html
個人事業→法人設立の手続きのまとめ - vol.1 -
(注) 記載事項は手続きの概要となります。実際の手続きに当たっては各種行政機関や専門家等にご相談されることを強く推奨致します。
個人事業を法人化する際の手続きについてまとめます。
(以下の内容は設立する法人の形態は株式会社とします。)
1.法人設立登記
称号や本店所在地等を決定した後、まずは定款を作成します。定款には次の事項の記載が必要です。
会社法 第27、37条
第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
第三十七条 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
つまり、次の事項は絶対に定款に記載する必要があります(絶対的記載事項)。
・目的
・称号
・本店所在地
・資本金
・発起人の氏名又は名称、住所
・発行可能株式総数(会社成立の時までに定める)
定款を作成した後、公証人役場で定款の認証を受ける必要があります。
会社法 第30条
第三十条 第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
出資を履行して、金銭等を払い込みます。
会社法 第34条
第三十四条 発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。
発起人は出資後、設立時取締役を選任します。
会社法 第38条
第三十八条 発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならない。
設立時取締役の選任後調査(会社法第46条)が終わった日、又は発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内に本店所在地において設立登記します。
会社法 第911条
第九百十一条 株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。・・・
(参考)
建設的な意見なのか、感情的な反発なのか?
あらゆる場面でその人なりの考えや思いがあるはずです。それらを交換しあって前向きに物事を進めることが出来るのが理想的ではありますが、他人の意見を聞かない、趣旨を理解しない、意見を言わないのに反発するといったことは日常の風景でしょう。世の中、コミュニケーション能力の重要性が強調されますが、現実に上手くいかないからこそ、重要性が強調されると言っても良いのかもしれません。
感情的になることが理性的な議論を妨げるような気がしてなりません。嫉妬や尊敬といった感情が現実をそのまま直視することを妨げている。事実を歪曲して捉えてしまう。同じことを認識しても、どのような考えを抱くかについてはわからない。だからこそ、対話が必要なのですが、相手に対する特別な感情が建設的な対話を邪魔する。あくまでも個人的な印象も含めてですが。。。
どのような状況が当事者を取り巻いているかも、大切になると思います。
愚痴や不平不満を漏らす事は誰しもが少なからずあるはずですが、そういった状況が起きているということは、それだけストレスがかかっているとも取れます。相手が望ましい振る舞いをすることを期待し、現実との落差に失望する。とても自分勝手な態度ではありますが、それを自身で認識することは難しい。大抵の場合、後になって自分を省みることになりますが、それが先に生かされることは殆ど無い。それほどに自身を客観視することは大変です。メタ認知の発揮には余裕と訓練が必要なようです。
他人と向き合うには、ある程度の辛抱強さが必要ですが、それも気質としてそのような素養が備わっていないといけない。諦めや怒りを表すことは簡単です。でも、他人は自分が勝手に想像したとおりの形には動かない。わかる人はわかっているみたいですが。
短い時間では信頼関係の構築は難しい、それは長期的な目線で忍耐強く行っていくしかないような気がしています。
LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い(実務対応報告第40号)- vol.2 -
(続き)
①金利指標置換前
・事前テスト
⇒適用対象の金融商品をヘッジ対象またはヘッジ手段としてヘッジ会計を適用する場合、参照する金利指標は金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されないとの仮定を置いて実施することができます(第7項)。
・事後テスト
⇒適用対象の金融商品をヘッジ対象またはヘッジ手段としてヘッジ会計を適用する場合、事後テストにおける有効性評価の結果、ヘッジ有効性が認められなかった場合であってもヘッジ会計の適用を継続することができます(第8項)。
・包括ヘッジ
⇒適用対象の金融商品を含むグループをヘッジ対象として包括ヘッジを適用する場合、個々の資産又は負債のリスクに対する反応とグループ全体のリスクに対する反応が、ほぼ一様であると認められなかった場合であっても、包括ヘッジを適用できます(第9項)。
⇒適用対象の金融商品をヘッジ対象またはヘッジ手段として金利スワップの特例処理を適用する場合、一定の金利スワップの要件を充足しているかどうかの判定に当たっては、参照する金利指標は金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されないとみなすことができます(第11項)。
・外貨建会計処理基準等における振当処理
⇒適用対象となる金融商品をヘッジ対象またはヘッジ手段として振当処理を適用する場合、、円貨でのキャッシュ・フローが固定されているかどうかの判断にあたって参照する金利指標は金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されないとみなすことができます(第12項)。
②金利指標置換時
⇒金融商品会計基準等に基づき、当初のヘッジ会計開始時にヘッジ文書で記載したヘッジ取引日(開始日)、識別したヘッジ対象、選択したヘッジ手段等を変更したとしても、ヘッジ会計の適用を継続することができます(第13項)。