かいけいがく vol.30 - 資産除去債務 Part.1 -

(vol.29から続く)

 

以前に有形固定資産についての説明をしましたが、関連する論点として資産除去債務があります。

今回からは資産除去債務について説明します。

 

企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準

 

3. 本会計基準における用語の定義は、次のとおりとする。
(1) 「資産除去債務」とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう。

この場合の法律上の義務及びそれに準ずるものには、有形固定資産を除去する義務のほか、有形固定資産の除去そのものは義務でなくとも、有形固定資産を除去する際に当該有形固定資産に使用されている有害物質等を法律等の要求による特別の方法で除去するという義務も含まれる。  

 

例えば、工場を建設して製品の製造をしているような場合に、契約で更地に戻す義務が会社側に発生しているような場合があります。

(このような義務を”原状回復義務”といったりします)

このような時に、当該義務を決算書に反映するのが、資産除去債務です。

 

企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準

 

4. 資産除去債務は、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって発生した時に負債として計上する。  

 

7. 資産除去債務に対応する除去費用は、資産除去債務を負債として計上した時に、当該負債の計上額と同額を、関連する有形固定資産の帳簿価額に加える。
資産計上された資産除去債務に対応する除去費用は、減価償却を通じて、当該有形固定資産の残存耐用年数にわたり、各期に費用配分する。

 

資産除去債務は該当する義務を負債として認識すると同時に、除去費用部分を対象となる資産の帳簿価額に含めます。

そして、減価償却を通じて各期に配分されることになります。

 

例)B社は生産増強のため機械設備を100,000で取得した。当該設備は使用後に除去する法的な義務を伴う。除去費用は10,000と見積もられた。法定耐用年数は5年とする。

 

(仕訳)

取得時

機械設備 110,000 / 未払金    100,000

           資産除去債務 10,000

 

償却計算

減価償却費 22,000 / 減価償却累計額 22,000

 

(vol.31へ続く)