かいけいがく vol.27 - 無形固定資産 Part.4 -
(vol.26から続く)
前回までは、制作目的別の会計処理の方法についてみてきました。
今回はソフトウェアの償却方法についてです。
5 ソフトウェアの減価償却方法
無形固定資産として計上したソフトウェアの取得原価は、当該ソフトウェアの性格に応じて、見込販売数量に基づく償却方法その他合理的な方法により償却しなければならない。ただし、毎期の償却額は、残存有効期間に基づく均等配分額を下回ってはならない。
(注5)ソフトウェアの減価償却方法について
いずれの減価償却方法による場合にも、毎期見込販売数量等の見直しを行い、減少が見込まれる販売数量等に相当する取得原価は、費用又は損失として処理しなければならない。
ソフトウェアは市場販売目的と自社利用の場合で少々取り扱いが異なりますので、1つずつみていきましょう。
・市場販売目的ソフトウェアの減価償却
資産計上されたソフトウェア金額:6,000,000
見込有効期間:3年
なお、見込販売数量および見込販売収益の見直しはないものとする。
A.見込販売数量に基づく償却
1年目
6,000,000 × 1,400 ÷ 2,500*1 = 3,360,000
*1 1,400 + 800 + 300 = 2,500
均等償却額:6,000,000 ÷ 3 = 2,000,000
3,360,000 > 2,000,000
償却額:3,360,000
帳簿価額:6,000,000 − 3,360,000 = 2,640,000
2年目
2,640,000 × 800 × 1,100*2 = 1,920,000
*2 800 + 300 = 1,100
均等償却額:2,640,000 ÷ 2 = 1,320,000
1,920,000 > 1,320,000
償却額:1,920,000
帳簿価額:6,000,000 − (3,360,000 + 1,920,000) = 720,000
3年目
償却費:720,000
帳簿価額:0
B.見込販売収益に基づく償却
1年目
6,000,000 × 2,500,000 ÷ 4,000,000*3 = 3,750,000
*3 2,500,000 + 1,000,000 + 500,000 = 4,000,000
均等償却額:6,000,000 ÷ 3 = 2,000,000
3,750,000 > 2,000,000
償却費:3,750,000
帳簿価額:6,000,000 - 3,750,000 = 2,250,000
2年目
2,250,000 × 1,000,000 ÷ 1,500,000*4 = 1,500,000
*4 1,000,000 + 500,000 = 1,500,000
均等償却額:2,250,000 ÷ 2 = 1,125,000
1,500,000 > 1,125,000
償却費:1,500,000
帳簿価額:6,000,000 − (3,750,000 + 1,500,000) = 750,000
3年目
償却費:750,000
帳簿価額:0
以上となります。
ポイントは毎期の償却額が均等償却額を下回っていないか確認して、毎期の償却額が均等償却額以下となる場合には、残存期間にもとづく均等償却となる点です。
基準の設例ではそのような場合も取り扱っていますので、ご興味のある方はそちらを御覧ください。
日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第12号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」
URL:https://jicpa.or.jp/specialized_field/1214_2.html
・自社利用ソフトウェアの償却
例)自社利用ソフトウェアとして制作費200,000を資産計上した。
(当該ソフトウェアの利用により将来の収益獲得は確実なものと判断されている。)
償却方法は定額法、償却期間は5年とする。
2年目末時点で利用可能期間の見直しを行ったところ、残り2年であることがわかった。
1年目〜2年目
200,000 ÷ 5 = 40,000
3年目〜4年目
120,000*1 ÷ 2 = 60,000
*1 200,000 - (40,000 × 2) = 120,000
利用可能期間の変更があった場合、残りの期間で均等償却とします。
(vol.28へ続く)