かいけいがく vol.55 - リース取引 Part.5 -

(vol.54から続く)

 

次に所有権移転ファイナンス・リース取引についてみてみましょう。

 

前提条件

・所有権移転条項 あり

・割安購入選択権 なし

・リース物件は特別仕様ではない。

・リース期間:5年

・借手の見積現金購入価額:35,000(貸手の購入価額は明らかではない。)

・リース料:毎年度末に10,000、リース料総額:50,000

・借手の追加借入利子率:6%(貸手の計算利子率はわからない。)

・リース取引開始日:x1年4月、決算期3月末

減価償却方法:定額法(残存価額10%)

 

ファイナンス・リース取引に該当するかどうかの判定

省略

 

所有権移転条項があるので、所有権移転ファイナンス・リース取引に該当する。

10,000÷(1.06)^1+10,000÷(1.06)^2+10,000÷(1.06)^3

+10,000÷(1.06)^4+10,000÷(1.06)^5 = 43,123 (端数切捨て)

 

現在価値 > 見積現金購入価額なので、

リース資産、リース債務の計上額は35,000となる。

 

(仕訳)

取得日

リース資産 35,000 / リース債務 35,000

 

毎期末

利息相当額を各期に定額で配分する場合

リース債務 7,000*1 / 現金 10,000

支払利息  3,000*2

 

*1 35,000 ÷ 5 = 7,000

*2 (50,000 - 35,000) ÷ 5 = 3,000

 

償却計算

減価償却費 6,300*3 / 減価償却累計額 6,300

 

*3 (35,000 - 3,500) ÷ 5 = 6,300

 

所有権移転と所有権移転外の場合で、会計処理が異なるので、どちらに該当するかの判定は重要です。

 

(vol.56へ続く)