かいけいがく vol.56 - 税効果 Part.1 -

(vol.55から続く)

 

今回は税効果会計についてみていきましょう!

財務諸表をみていると、繰延税金資産とか、法人税等調整額といった見慣れない

勘定科目をみかけることがありますが、これらは税効果会計を適用することによって、

財務諸表に計上されるものです。

 

独特の考え方に慣れるまでは、分かりづらいところもあるかもしれませんが、

税効果会計は、企業会計と課税所得の計算の違いを帳簿上、

反映しているんだなと考えてもらうとわかりやすいかもしれません。

 

まずは、税効果が何故、必要なのかについて考えてみましょう!

 

会計上の利益は、どうやって計算されるか復習しましょう。

 

収益 - 費用 = 利益

 

一方、税金計算のもとになる所得はどうやって求められるでしょうか?

 

法人税法 第22条

 

第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。 

 

4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする

 

益金 - 損金 = 所得

 

益金と収益、損金と費用は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って、

計算されますが、完全に一致するわけではありません。

 

益金 ≒ 収益

損金 ≒ 費用

 

ですが、

 

益金 ≠ 収益

損金 ≠ 費用

 

というわけです。

 

これにより、企業会計上の資産と負債の金額と課税所得計算上の資産と負債の金額に差異が発生することになります。

 

企業会計       課税所得計算

資産・負債  ≠  資産・負債

 

また、P/L上の法人税等と法人税等控除前の当期純利益が適切に対応しないことになります。

 

これについて簡単な数値例で説明します。

 

・税率:30%

・費用には減価償却超過額100が含まれる。

 

税効果を適用しない場合

・・・

税引前利益   100

 

法人税等  △60

 

税引後利益  40

 

税金負担が6割(60÷100)となり、適切な表記とはなっていません。

では、税効果を適用してみましょう。

 

税効果を適用する場合

・・・

税引前利益    100

 

法人税等   △60

法人税等調整額 30

 

税引後利益      70

 

この場合、税期の負担率は3割((60 - 30)÷100)となり、適切な表記となります。

 

このように、企業会計と課税所得上の違いを適正に帳簿上に反映することが

税効果会計が目的とするところです。

 

(vol.57へ続く)