かいけいがく vol.54 - リース取引 Part.4 -

(vol.53から続く)

 

ファイナンス・リース取引の会計処理を設例で確認しましょう!

その前にルールの確認をします。

 

所有権移転外ファイナンス・リース取引

企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」

 

22. リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する場合の価額は、次のとおりとする。

(1) 借手において当該リース物件の貸手の購入価額等が明らかな場合は、リース料総額(残価保証がある場合は、残価保証額を含む。)を第 17 項に示した割引率で割り引いた現在価値と貸手の購入価額等とのいずれか低い額による。

(2) 貸手の購入価額等が明らかでない場合は、(1)に掲げる現在価値と見積現金購入価額とのいずれか低い額による。  

 

所有権移転ファイナンス・リース取引

企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」

 

37. リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する場合の価額は、次のとおりとする。

(1) 借手において当該リース物件の貸手の購入価額等が明らかな場合は、当該価額による。

(2) 貸手の購入価額等が明らかでない場合には、第 22 項(2)と同様とする。なお、割安購入選択権がある場合には、第 22 項(1)のリース料総額にその行使価額を含める。 

 

では設例で確認します。

 

まずは、所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合です。

 

前提条件

・所有権移転条項 なし

・割安購入選択権 なし

・リース物件は特別仕様ではない。

・リース期間:5年

・借手の見積現金購入価額:35,000(貸手の購入価額は明らかではない。)

・リース料:毎年度末に10,000、リース料総額:50,000

・借手の追加借入利子率:6%(貸手の計算利子率はわからない。)

・リース取引開始日:x1年4月、決算期3月末

 

ファイナンスリースの判定)

10,000÷(1.06)^1+10,000÷(1.06)^2+10,000÷(1.06)^3

+10,000÷(1.06)^4+10,000÷(1.06)^5 = 43,123 (端数切捨て)

 

43,123 ÷ 35,000 = 123% > 90%

 

よって、ファイナンス・リース取引と判定される。

 

また、所有権移転条項なし、割安購入選択権なし、リース物件は特別仕様物件ではないので、所有権移転外ファイナンス・リース取引となる。

 

現在価値 > 見積現金購入価額 より

見積現金購入価額でリース資産及びリース債務を計上する。

 

(仕訳)

取得日

リース資産 35,000 / リース債務 35,000

 

毎期末

利息相当額を各期に定額で配分する場合

リース債務 7,000*1 / 現金 10,000

支払利息  3,000*2

 

*1 35,000 ÷ 5 = 7,000

*2 (50,000 - 35,000) ÷ 5 = 3,000

 

償却計算

減価償却費 7,000*3 / 減価償却累計額 7,000

 

*3 リース期間を耐用年数、残存価額はゼロで計算する。

  35,000 ÷ 5 = 7,000

 

(vol.55へ続く)