かいけいがく vol.53 - リース取引 Part.3 -

(vol.52から続く)

 

ファイナンス・リース取引かどうかの判定を行うときの具体的な基準は

以下のとおりです。

 

企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」

 

9. リース取引がファイナンス・リース取引に該当するかどうかについては、第 5 項の要件を満たす必要があり、その経済的実質に基づいて判断すべきものであるが、次の(1)又は(2)のいずれかに該当する場合には、ファイナンス・リース取引と判定される。

(1) 現在価値基準
解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、当該リース物件を借手が現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額(以下「見積現金購入価額」という。)の概ね 90 パーセント以上であること(以下「現在価値基準」という。)

(2) 経済的耐用年数基準
解約不能のリース期間が、当該リース物件の経済的耐用年数の概ね 75 パーセント以上であること(ただし、リース物件の特性、経済的耐用年数の長さ、リース物件の中古市場の存在等を勘案すると、上記(1)の判定結果が 90 パーセントを大きく下回ることが明らかな場合を除く。)(以下「経済的耐用年数基準」という。)  

 

現在価値 ≧ 見積現金購入価額 × 90%

or                     → ファイナンス・リース取引

リース期間 ≧ 経済的耐用年数 × 75%

 

2つの要件のうち、どちらかを満たしたらファイナンス・リース取引となります。

 

ファイナンス・リース取引と判定された取引は、

さらに以下の要件のいずれかを満たした場合には、

所有権移転ファイナンス・リース取引となります。

 

企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」

 

10. 前項でファイナンス・リース取引と判定されたもののうち、次の(1)から(3)のいずれかに該当する場合には、所有権移転ファイナンス・リース取引に該当するものとし、それ以外のファイナンス・リース取引は、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当するものとする。

(1) リース契約上、リース期間終了後又はリース期間の中途で、リース物件の所有権が借手に移転することとされているリース取引

(2) リース契約上、借手に対して、リース期間終了後又はリース期間の中途で、名目的価額又はその行使時点のリース物件の価額に比して著しく有利な価額で買い取る権利(以下合わせて「割安購入選択権」という。)が与えられており、その行使が確実に予想されるリース取引

(3) リース物件が、借手の用途等に合わせて特別の仕様により製作又は建設されたものであって、当該リース物件の返還後、貸手が第三者に再びリース又は売却することが困難であるため、その使用可能期間を通じて借手によってのみ使用されることが明らかなリース取引 

 

所有権移転条項

or

割安購入選択権  → 所有権移転ファイナンス・リース取引

or

特別仕様物件

 

企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」

 

所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手の会計処理
21. ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うとされている(リース会計基準第 9 項)。借手の行ったリース取引が所有権移転外ファイナンス・リース取引と判定された場合には、リース取引開始日に、リース物件とこれに係る債務を、リース資産及びリース債務として計上し、第 22 項から第 33 項の方法に従い会計処理する。

 

所有権移転ファイナンス・リース取引に係る借手の会計処理
36. ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うとされている(リース会計基準第 9 項)。借手の行ったリース取引が所有権移転ファイナンス・リース取引と判定された場合には、リース取引開始日に、リース物件とこれに係る債務を、リース資産及びリース債務として計上し、第 37 項から第 44 項の方法に従い会計処理する。 

 

仕訳のイメージ

リース資産 ××× / リース債務 ×××

 

文章だけだと分かりづらいかと思いますので、

次回以降、簡単な設例で確認しましょう。

 

(vol.54へ続く)