かいけいがく vol.139 - 関連当事者 Part.1 -

財務諸表の注記事項として、関連当事者があります。こちらでは、どのような開示が求められるのかについて整理していきます。

 

まずは、関連当事者の定義から確認しましょう。

 

企業会計基準第 11 号「関連当事者の開示に関する会計基準」第5項

(3) 「関連当事者」とは、ある当事者が他の当事者を支配しているか、又は、他の当事者の財務上及び業務上の意思決定に対して重要な影響力を有している場合の当事者等をいい、次に掲げる者をいう。

① 親会社

② 子会社

③ 財務諸表作成会社と同一の親会社をもつ会社

④ 財務諸表作成会社が他の会社の関連会社である場合における当該他の会社
(以下「その他の関係会社」という。)並びに当該その他の関係会社の親会社及び子会社

⑤ 関連会社及び当該関連会社の子会社

⑥ 財務諸表作成会社の主要株主及びその近親者

⑦ 財務諸表作成会社の役員及びその近親者

⑧ 親会社の役員及びその近親者

⑨ 重要な子会社の役員及びその近親者

⑩ ⑥から⑨に掲げる者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社及びその子会社

⑪ 従業員のための企業年金企業年金と会社の間で掛金の拠出以外の重要な取引を行う場合に限る。)

なお、連結財務諸表上は、連結子会社を除く。また、個別財務諸表上は、重要な子会社の役員及びその近親者並びにこれらの者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社及びその子会社を除く。

 

上記のように関連当事者に含まれる範囲は広範ですので、漏れがないかどうかの確認はマストです。対象となる関連当事者を網羅的に把握できていない場合、情報の収集漏れがあると必要な情報が開示されません。

 

関連当事者の範囲を確認したところで、実際に開示対象となる取引について確認しましょう。

 

企業会計基準第 11 号「関連当事者の開示に関する会計基準」第6項

会社と関連当事者との取引のうち、重要な取引を開示対象とする。・・・

 

重要性が認められる取引か否かが判断のポイントです。

 

該当する関連当事者との取引が有った場合、次の事項を開示することになります。

 

企業会計基準第 11 号「関連当事者の開示に関する会計基準」第10項

10. 開示対象となる関連当事者との取引がある場合、原則として個々の関連当事者ごとに、以下の項目を開示する。

(1) 関連当事者の概要

(2) 会社と関連当事者との関係

(3) 取引の内容。なお、形式的・名目的には第三者との取引である場合は、形式上の取引先名を記載した上で、実質的には関連当事者との取引である旨を記載する。

(4) 取引の種類ごとの取引金額

(5) 取引条件及び取引条件の決定方針

(6) 取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高

(7) 取引条件の変更があった場合は、その旨、変更内容及び当該変更が財務諸表に与えている影響の内容

(8) 関連当事者に対する貸倒懸念債権及び破産更生債権等に係る情報(貸倒引当金繰入額、貸倒損失等)。なお、第 5 項(3)に掲げられている関連当事者の種類ごとに合算して記載することができる。

 

(vol.2へ続く)