かいけいがく vol.72 - セグメント情報 Part.2 -

(vol.71から続く)

 

次は報告すべきセグメントの決定方法についてです。

以下の手順で報告セグメントを決定します。

 

①事業セグメントの識別

②集約基準に基づいて事業セグメントを集約

③量的基準に基づいて報告セグメントを開示

 

 

事業セグメントの識別

次のすべての要件を満たした場合、事業セグメントとします。

なお、新規事業を立ち上げた場合で収益をまだ獲得していない場合でも、

事業セグメントとすることがあります。

また、本社のように付随的な収益を得ているものは事業セグメントになりません。

 

企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準

 

(1) 収益を稼得し、費用が発生する事業活動に関わるもの(同一企業内の他の構成単位との取引に関連する収益及び費用を含む。)

(2) 企業の最高経営意思決定機関が、当該構成単位に配分すべき資源に関する意思決定を行い、また、その業績を評価するために、その経営成績を定期的に検討するもの

(3) 分離された財務情報を入手できるもの 

 

 集約基準に基づいて事業セグメントを集約

複数の事業セグメントが以下の要件をすべて満たす場合、

事業セグメントをひとつの事業セグメントに集約できます。

 

企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準

 

(1) 当該事業セグメントを集約することが、セグメント情報を開示する基本原則(第4項参照)と整合していること

(2) 当該事業セグメントの経済的特徴が概ね類似していること

(3) 当該事業セグメントの次のすべての要素が概ね類似していること

① 製品及びサービスの内容

② 製品の製造方法又は製造過程、サービスの提供方法

③ 製品及びサービスを販売する市場又は顧客の種類

④ 製品及びサービスの販売方法

⑤ 銀行、保険、公益事業等のような業種に特有の規制環境  

 

量的基準に基づいて報告セグメントを開示

次のいずれかの要件をみたす事業セグメントを報告セグメントとなります。

 

・売上高*1 / すべての事業セグメントの売上高の合計額 ≧ 10%

*1 (事業セグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)

 

・利益又は損失の絶対値 / A   ≧ 10%

A:利益が生じているすべての事業セグメントの合計額or

    損失が生じているすべての事業セグメントの合計額の絶対値

 

・資産 / すべての事業セグメントの資産の合計額 ≧ 10%

 

なお、外部顧客への売上高合計がP/Lの売上高の75%未満の場合は、

P/Lの売上高の75%以上が報告セグメントに含まれるまで、

事業セグメントを報告セグメントに追加していきます。

 

(vol.73へ続く)