かいけいがく vol.131 - 収益認識 Part.1 -

従来、日本では収益認識について企業会計原則において売上高は実現主義に従うことが明記されるのみでした。

 

企業会計原則 三 B

売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。

 

そこで、国際的な会計基準との整合性を図る観点から、企業会計基準委員会から以下の会計基準等が公表されました。

 

企業会計基準第 29 号「収益認識に関する会計基準

企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」

 

こちらに基づいて、新しい収益認識の考え方に解説したいと思います。

 

まずは、当該会計基準における基本的な原則を明示しています。

 

企業会計基準第 29 号「収益認識に関する会計基準」第16項

16. 本会計基準の基本となる原則は、約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように、収益を認識することである。 

 

上記の原則に則って収益認識を行うために、5つのステップに基づいて収益を認識することが明示されています。

 

(1) 顧客との契約を識別する

(2) 契約における履行義務を識別する

(3) 取引価格を算定する

(4) 契約における履行義務に取引価格を配分する

(5) 履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識する

 

なお、基準上は従来の実務等を勘案して、財務諸表間の比較可能性を大きく損なわせない範囲で、個別項目に対する重要性の記載等、代替的な取扱いを定めています。 

 

基本的に上記の5つの各ステップに従って収益認識を行います。では各ステップではどのように処理されるのでしょうか。次稿以降で解説していきます。

 

(vol.132へ続く)