かいけいがく vol.78 - 企業結合 Part.1 -

(vol.77から続く)

 

今回からは企業結合に関する会計処理について確認しましょう。

現代では会社や事業を買ったり売ったりすることがよく行われます。

企業の組織再編に絡む処理を定めたのが、企業結合に関する会計処理です。

 

まずは定義を確認しましょう。

企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準

 

5. 「企業結合」とは、ある企業又はある企業を構成する事業と他の企業又は他の企業を構成する事業とが 1 つの報告単位に統合されることをいう。

なお、複数の取引が 1 つの企業結合を構成している場合には、それらを一体として取り扱う。  

 

例えば、A社がB社の全株式を取得して子会社化した時はどんな会計処理をするのか?

組織の構成が変わった時にはどのような処理が必要なのか?

それに答えるのが企業結合の会計処理です。

 

企業結合は3つの区分に分けて処理を考えることになります。

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ひとつずつみていきましょう!

 

取得

企業結合のうち、共通支配下の取引及び共同支配企業の形成以外は取得となります。

取得の処理にはパーチェス法を適用します。

パーチェス法の手順は以下のとおりです。

 

1.取得企業の決定

2.取得原価の算定

3.取得原価の配分

4.のれんの処理

5.増加資本の処理

 

1.取得企業の決定

いずれかの結合当事企業を取得企業として決定します。

結合当事企業のどの企業が取得企業であるのか明確でない場合は、

以下の要素を考慮して取得企業を決定します。

 

・対価として、現金又は他の資産を引き渡す又は負債を引き受ける企業

→通常、当該企業が取得企業

 

・対価として、株式を交付する場合

→通常、当該企業が取得企業

 ただし、そうでない場合(逆取得)もあるので、次の要素を勘案する。

 

■総体としての株主が占める相対的な議決権比率の大きさ

■最も大きな議決権比率を有する株主の存在

■取締役等を選解任できる株主の存在

■取締役会等の構成

■株式の交換条件

 

・相対的規模(総資産額や売上額等)が著しく大きい企業がある場合

→通常、当該企業が取得企業

 

・結合当事企業が3社以上の場合は上記に加えて、どの企業が最初に企業結合を提案したのかについても考慮する。

 

(vol.79へ続く)